1. 在留資格の取得
外国人を雇用するには在留資格が必要になります。外国人雇用は手続きが複雑なために、多くの経営者は、行政書士に手続きを代行してもらっています。
在留資格とは、外国人が日本に在留する場合であっても日本での活動を行うことができること、または、その許可証であり、身分や地位を有する者として活動できることを証明する入管法上の法的な資格になります。
外国人は、この資格に基づいて、日本に在留して、日本で活動することができます。
ビザ、すなわち査証とは、日本に入国する前に出される推薦のことです。海外にある日本大使館や領事館が日本に入国する予定の外国人にビザ、査証を発給します。 本来は、ビザ(査証)と在留資格は違う意味ですが、一般的には、ビザという言葉で、両方の意味を包含している状態になっています。
在留資格は、外国人が適法に日本に滞在する許可です。入国管理局が審査して、在留資格が許可された外国人だけが日本に滞在できます。
どの在留資格を取得すべきか、どうすれば、許可がでるのか、どんな書類、資料を提出すべきかについては、外国人社員、雇用企業の個々の事情によって、異なっており、その判断は簡単ではありません。
在留資格の種類は、かなり多くて複雑で、29種類もあります。大きく分けて、活動制限の少ない身分、または地位に基づく在留資格、居住資格と、活動内容や在留期間などの制限を受ける在留資格、活動資格の2種類があります。
在留資格の取得方法としては、入国後に、外国人自身で必要書類を用意して、入国管理局へ申請する方法と、入国する前に日本にいる代理人である雇用主や配偶者などに「在留資格認定証明書」を申請してもらう方法の2通りがありますが、日本語などがあまりできない外国人にとって、前者の方法はハードルが高すぎるため、多くの場合で、後者の方法が取られています。
在留資格には、期限もあります。在留期限は、在留資格そのものの有効期間の満了日ことで、これは外国人が日本にいるためにはとても大切です。
在留期限を過ぎてしまうと、不法滞在者、オーバーステイとして犯罪者扱いになってしまいます。雇用している会社も法的な責任が問われる場合があります。
申請前に改善、是正すべきところを改善していなかったり、法律上の最適な書類や資料を作成しなければ、在留資格は取得できません。
採用にどれだけの時間と資金と労力をかけても、在留資格を取得できなかった外国人は解雇することになってしまいます。
2. 外国人雇用
外国人の採用は、企業側が主体になって行いますが、行政書士もお手伝いすることがあります。
(1)外国人を募集
ハローワークを利用することができます。
ハローワークが運営している東京、名古屋、大阪外国人雇用サービスセンターと福岡学生職業センター、福岡新卒応援ハローワークを拠点にして、卒業後に日本での就労を希望する留学生や専門的、技術的分野の外国人に対して、職業相談、職業紹介を行うとともに、外国人を雇用する事業主などに対して、雇用管理指導や援助などをしています。
外国人人材紹介会社を利用することがあります。
外国人を専門に人材紹介を行っている会社が多数あります。外国人の人材会社として、いろいろな外国人を専門とした人材会社、派遣会社がありますので、利用する企業も多くなっています。
(2)留学生の採用
留学生は約30万人程度います。卒業後の進路はいろいろありますが、日本での就職を希望する外国人もたくさんいます。外国人留学生は、非常に優秀な人材が多くいます。
外国人留学生採用を支援する団体が、合同説明会などを企画や運営をしています。
外国人留学生を多く受け入れている学校は、留学生の就職支援にも力を入れています。そのような大学や専門学校などに相談してみることも外国人の採用になります。
(3)在留資格の取得
外国人採用にあたって、注意すべき点としては、就職を希望している外国人が、自分の職務にあった在留資格を取得できるかということです。
外国人を採用する場合は次の2つに分かれます。
・日本に留学している外国人を卒業後に雇用する
日本に留学している外国人を卒業後に、雇用する場合、現在、その外国人留学生が所持している在留資格の「留学」から就労系の資格に変更する必要があります。
外国人が、働くことを目的として日本政府から与えられている、在留資格は、「18種類」ありますが、一般の企業などでの雇用のケースが多いと考えられるものは次の4種類です。
・技術:コンピューター技術者、自動車設計技術者など
・人文知識、国際業務:通訳、語学の指導、為替ディーラー、デザイナーなど
・企業内転勤:企業が海外の本店または、支店から期間を定めて受け入れる社員
ただし、活動としては、「技術」、「人文知識・国際業務」などに限る。
・技能:中華料理、フランス料理の調理師など
実態としては、このように企業が外国人を受け入れる場合に取得する在留資格は、技術・人文知識・国際業務という在留資格が主流になっています。
雇用された外国人が就業するためには、在留資格の留学から技術、人文知識、国際業務への変更が必要になります。
・海外に在住する外国人を採用して、日本へ呼ぶ場合
この場合では、新規に在留資格を取得する必要があります。
方法としては、日本国内で在留資格認定証明書の交付申請をして、許可、在外の日本国大使館に提示し、ビザの発給、日本上陸という手順になります。
在留資格認定証明書の交付を受けておけば、よほどのことがない限り、ビザは発給されます。
在留資格認定証明書は、その外国人を雇用しようとする日本国内の企業が代理人になって本人に代わって、申請するのが一般的になっています。
ただし、就労系の在留資格を取得するには、法律で定められた要件をすべて満たす必要があります。満たしていない場合では、許可はおりません。
外国人を雇い入れる場合は、その外国人の学歴や経歴内容から、職務内容に照らして、希望の就労系在留資格が取れるかどうかを判断していかなければなりません。
判断するためには、入管法の知識が不可欠であり、一般の企業では、なかなか判断しかねるかと思います。行政書士に相談することになります。
入管業務を専門としている行政書士事務所へ相談するのが一般的になっています。
