1.就労ビザとは
外国人が日本で働く場合に、必ず必要となる条件としては、就労することができる在留資格を持っているということになります。
在留資格のことをビザと呼ばれることがありますが、ビザ、査証と在留資格は違うものになります。
ビザとは、海外にいる日本の大使館や領事館が、外国人が所持しているパスポートやその他の申請書類を確認して、日本への入国に問題がないと判断した場合に、発給する証明書のことです。
つまり、ビザのメインの目的は、日本国に入国して問題ない人物かどうかを判断する身元審査ということになります。
在留資格とは、外国人が日本に在留して、活動することができる身分や、地位の種類を類型化したものです。外国人が日本に入国して、在留するためには、入管法によって、いずれかの在留資格を取得する必要があります。
入管法、正式名称は、出入国管理及び難民認定法となりますが、入管法は、日本に入国して、または日本から出国するすべての人の出入国の公正な管理を図ることを目的とするとともに、難民の認定手続きを整備することを目的とした法律になります。
このうちで、就労が認められる在留資格のことを一般的に、就労ビザと呼んでいます。就労ビザとは、正式な法律用語ではなくて慣用的な表現になります。
2.在留資格と日本でできる活動内容とその期間について
教授:大学教授・助教授・助手など、大学や大学に準ずる機関、高等専門学校にて教授、助教授、助手等として迎えられる場合
5年・3年・1年、または3月
芸術:作曲家・作詞家・画家・彫刻家・工芸家・写真家など、作曲家、作詞家、画家、彫刻家、工芸家、写真家など、収入を伴う活動を行う芸術家
5年・3年・1年、または3月
宗教:僧侶・司教・宣教師等の宗教家など、外国の宗教団体から派遣されて布教などの宗教活動を行う宗教家
5年・3年・1年、または3月
報道:新聞記者・雑誌記者・編集者・報道カメラマン・アナウンサーなど、外国の新聞社、通信社、放送局などの報道関係者、およびフリーの記者、カメラマン、編集者
5年・3年・1年、または3月
法律・会計業務:日本の資格を有する弁護士・司法書士・公認会計士・税理士など、法律・会計関係の職業にて弁護士・公認会計士等の日本の法律上の資格を有する場合
5年・3年・1年、または3月
医療:日本の資格を有する医師・歯科医師・薬剤師・看護師など、医療関係の職業にて医師・看護婦等の日本の法律上の資格を有する場合
5年・3年・1年、または3月
研究:研究所等の研究員・調査員など、国・地方公共団体の機関や特殊法人等との契約に基づいて、試験・調査・研究等を行なう業務に従事する場合
5年・3年・1年、または3月
教育:小・中・高校の教員など、小・中・高等学校及び各種学校等の教育活動に従事する場合
5年・3年・1年、または3月
技術、人文知識・国際業務:
(技術)理工系技術者・IT技術者など、理学・工学等、自然科学分野に属する技術や知識を必要とする業務に従事する場合
(人文知識・国際業務)外国語教師・通訳・コピーライター・デザイナーなど、法律学・経済学等の人文科学の分野に属する知識を要する業務に従事する場合、または、外国人特有の文化的知識や感性を生かして活躍する通訳、翻訳、コピーライター、ファッション・デザイナー、海外業務、国際金融・広報宣伝等の業務に従事する場合
5年・3年・1年、または3月
経営・管理:会社社長・役員・経営社・管理者など、経営・経営や、その事業の管理業務に従事する場合
5年・3年・1年・4月又は3月
企業内転勤:同一企業の日本支店(本店)に転勤する者など、外国にある日本企業の子会社・支店等からその企業の日本国内の本店等に転勤する場合、または外国にある本店から日本国内にある支店等に対して、技術や人文知識・国際業務に該当する活動を行う場合
5年、3年、1年又は3月
介護:介護福祉士、介護福祉士を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事
5年、3年、1年又は3月
興行:演奏家・俳優・歌手・ダンサー・スポーツ選手・モデルなど、演劇・演芸・歌謡・舞踊・演奏・スポーツ等の興業関係の活動を行う場合、またはテレビ番組や映画の製作・モデルの写真撮影等の芸能活動を行う場合
3年、1年、6月、3月又は15日
技能:外国料理の調理師・調教師・パイロット・スポーツトレーナー・ソムリエなど、産業上の特殊な分野に属する熟練した技能(外国料理の調理、外国食品の製造、外国特有の建築や土木、宝石・貴金属又は毛皮の加工等に係る技能等)を要する業務に従事する場合
5年、3年、1年又は3月
特定技能
1号:特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事(介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業)
1年、6か月又は4月
2号:特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事(建設、造船・舶用工業のみ)
3年、1年又は6月
3.就労ビザ
就労ビザには、いくつか種類がありますが、日本において外国人を雇用する時に取得する場合は、ほとんどのケースが次の在留資格になります。
・技術・人文知識・国際業務
・技能
・企業内転勤
・経営・管理
・特定活動
・特定技能
各就労ビザでは、指定の職種の範囲内、かつ、定められた在留期間内の就労が認められています。
ただし、日本人の配偶者の場合などの例外もあります。
企業などが外国人を雇用する場合には、仕事の業務内容が、現在の日本で定められている就労ビザの範囲内の活動であるかどうかの確認が重要になります。
たとえ、どんなに優れた人材の採用ができたとしても、就労ビザが取得できなければ、外国人の日本での就労は認められません。
「永住者」などの就労制限のない就労ビザを取得している外国人を除いて、外国人を日本で雇用する場合は、就労ビザの有無の基準で、考えることになります。
就労ビザの条件に合致する人物を採用して、必要に応じて、就労ビザの取得、変更、更新などの手続を行います。
