1.行政書士の仕事
行政書士のメインの仕事は書類作成になります。
官公署に提出する書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類などがあります。書類の作成以外に書類作成に関わるコンサルティングも業務になります。
行政書士の登録者数は、約5万人、その内、公務員出身者8千人となっています。地域別では、東京、名古屋、大阪の三大都市圏が約2万5千人となります。
東京と大阪、名古屋に半分がいることになります。行政書士は、都市部に集中しています。年齢は、中高年が9割強、年収は、400万円未満が8割となります。
2.行政書士の収入
行政書士の平均収入は、年収が約400万円前後で、月収が概ね30万円前後と言われています。
たとえば、2018年の日本行政書士連合会のアンケート調査結果は次のとおりとなっています。
2018年の行政書士アンケート結果(回答4,338件)
年間売上 割合
500万円未満 78.7%
1,000万円未満 11.3%
2,000万円未満 5.3%
3,000万円未満 1.8%
4,000万円未満 0.8%
5,000万円未満 0.5%
1億円未満 0.8%
1億円以上 0.3%
未回答 0.4%
ほとんどの売り上げは500万円以下となっています。売上ですので、経費も含まれています。経費は、少なくとも10%から20%は最低限かかるので、年収は、400万円程度と推測されています。
ただし、中には1,000万円以上の年収の人もいるようです。個人事業主になるので、収入の幅は大きいですが、400万円以下の年収となるところも多いようです。
1年目の年収や給料ですが、1年目となると、収入も低くなるようです。開業間もない状態では、お客さんの認知や信用が少なくて、お客さんが少ないこともあって、年収が200万円より少ないこともあるようです。
女性の行政書士が占める割合としては、約20%となっています。割合としては少ないですが、収入は、男性とほぼ変わらないようです。
行政書士も勤務の人がいるので、すべてをあわせると、一般的には、行政書士の平均年収は約600万円と言われています。
ただし、行政書士にはいろいろな働き方があって、年収の差が大きいのが特徴になります。企業や行政書士事務所などに雇用されて、働く場合の年収は200万~600万円ほどと差がおおきく、独立開業して行政書士を専業で働いている場合は、1,000万円以上の年収の人もいます。
3.仕事の内容による収入差
行政書士の収入は能力や会社であれば、勤続年数にも変わってきますが、仕事内容によっても差があります。
(1)遺言執行手続き
遺言執行手続きは、遺言書の内容を法律に適用させる手続きです。金融資産、有価証券、自動車の名義変更などがあります。
報酬額は平均で、約25万円となり、月1回程度の依頼があれば、年収は、約300万円程度となります。
(2)知的資産経営報告書の作成
知的資産経営報告書は、企業の技術などの知的資産をまとめた報告書です。
1件で、平均約70万円の報酬があり、月1回程度の依頼があれば、年収では840万円程度となります。
(3)帰化許可申請
帰化許可申請は、国籍を取得する手続きです。
日本では、日本国籍を取得することになります。
1件では、報酬は約20万円、月1回程度の依頼があれば、年収では240万円程度となります。
(4) 官公署提出の書類作成や提出代行
官公署へ提出する書類作成、提出代行の場合は、年収は700万円程度と言われています。許認可申請の内容によって異なりますが、1件あたりでは約15万円とのことです。
行政書士は集客の仕方などによっても、年収の差が大きくなっています。集客の仕方にも、工夫が必要です。人脈を広げるための方法や、固定客をつくる方法も身につけなくてはなりません。
独立、開業して行政書士を専業で働いた場合には、1,000万円以上の年収を得ることもできます。しかし、開業時点では、収入は、安定は望めません。
集客をして、顧客が安定して増えて、年収アップになるので、リピートのお客さんが少ない最初のあいだは、年収が100万~200万円ということもありえます。集客のノウハウを得て、営業することで、年収を増やしていけます。
そのためには、チラシを持って、駅で配るとか飛び込みセールスもいいですが、WEBインターネットの集客も重要です。ネット集客が独立開業のキーになると言っても過言ではないと思います。ホームページは、必須です。
行政書士になるためには試験の勉強時間をかなり使って、多くの受験科目があるので、受験講座などで、お金も使って、合格のために知識を修得することになりますが、それなりの難易度と支出があるものの、行政書士のできる仕事の多さと広さは、たいへん大きな魅力になっています。
行政書士などの士業であれば、必ずしも都会の駅の近くに事務所を構える必要もなく、自宅でも開業できます。自宅でできるのは大きな魅力だと思います。収入にもコストとして、直結します。