コンサルタントとしての中小企業診断士と、書類の作成、提出がメインの行政書士は、相互に補完し合って、すばらしい企業パートナーになることができます。
1.中小企業診断士と行政書士
中小企業診断士は企業経営の状態を分析して、売り上げをあげるための解決策などをアドバイスしたり、提案する経営のコンサルタントです。
行政書士の仕事は、個人や法人などの顧客からの依頼を受けて、許認可手続きなど官公署に提出する書類の作成や申請を代行することになります。
中小企業診断士は、コンサルタントがメインとなりますが、行政書士は、官公署向けなどの書類の作成、提出がメインとなりますので、2つの士業は、相互補完することができて相性のよい資格となります。
中小企業診断士の業務としては、中小企業支援法で「経営の診断及び経営に関する助言」となっています。
中小企業支援法とは、中小企業政策について、基本理念や基本方針などを定めるとともに、国および地方公共団体の責務などを規定することによって、中小企業に関する施策を総合的に推進して、国民経済の健全な発展および国民生活の向上を図ることを目的としています。
中小企業診断士の資格取得後は社内や子会社、グループ会社などの経営資源効率や経営の立案について、コンサルティング、診断、指導を実施します。
社外の企業にとっても経営分析のできる人材、経営コンサルタントとして副業をしたり独立開業することもできます。
2.行政書士の仕事
行政書士は、1951年(昭和26年)に行政書士法が成立するまでは、事務所の所在地を所轄する警察官署の許可をもらえば、だれでも代書業をすることができていました。
歴史的には、もともと代書屋として始まりました。仕事の範囲は、書類作成業務から高度なコンサルティングまで幅広くなっています。行政書士が作成する書類の数は1万種類を超えるともいわれています。
たとえば、次のような書類があります。
・会社設立時の手続き
・飲食店などの開業手続き
・相続手続き
・自動車関連の手続き
・産業廃棄物許可関連手続き
このような許認可申請、権利関係、事実証明などの書類の代理の作成、提出が仕事になります。
役所に提出する書類の手続きの代行
店舗や会社関係の免許や登録許可証の申請手続きなどが行政書士の業務内容になります。
専門知識が必要な場合が多く、役所の手続きをスムーズにするために、行政書士に依頼する人が多くなります。
権利義務に関する書類と事実証明に関する書類の作成
権利義務に関する書類とは、契約書、示談書、念書、内容証明、遺産分割協議書、離婚協議書、会社設立の定款など、権利義務を証明するための書類です。
事実証明に関する書類とは、たとえば、車庫証明、自動車のナンバー登録、交通事故調査報告書、財産目録、議事録、実地調査に基づく図面などがあります。
代理人として契約や覚書などの書類作成
契約書類など、あらゆる書類作成の代理を行います。
行政書士の資格の取得によって、中小企業診断士としての経営サポートやコンサルティングだけでなく、行政書士としての書類作成や申請までできるようになります。
行政書士の資格を取得することによって、中小企業診断士としての資格だけではできない書類の作成や提出までの一貫したサービスによって、企業から信頼を得られるようになります。
3.中小企業診断士の仕事
中小企業診断士は、中小企業支援法に基づいて登録された資格の専門家であり、中小企業の経営診断や助言を行います。公的な経営支援業務を中心にして民間コンサルタントとして活動もしています。
登録には試験を受ける方法と登録養成機関の認定履修方式があって、近年は認定履修方式の登録者が増加しています。中小企業診断士は経営診断業務を行うための資格であり、特定の業務独占資格や名称独占資格としては規定されていませんが、公的な中小企業支援事業における経営診断や助言を担う専門家として認定されています。
中小企業診断士の業務内容は経営指導や講演、教育訓練、診断業務、調査、研究業務、執筆業務などがあります。診断士登録者は国や地方自治体が設置する中小企業支援機関に専門家として登録されることによって、公的な経営支援業務に参加できるほか、経営コンサルタントとしての信用力やネットワークなどを活用するメリットがあります。
独立開業している診断士は少なくて、多くの中小企業診断士は、企業内で活動していて、独立する場合には、実務的な能力が必要とされています。
中小企業診断士は、経営コンサルタント系の国家資格で、国家資格系のコンサルタントの資格としては、これだけで唯一の資格と言えます。
中小企業にありがちな課題や問題を経営診断によって見える化して、改善策を提案、企業の戦略的な成長を支援していくことが仕事になります。
経営コンサルタントは、特に資格を持っていなくても、自分の判断で誰でも名乗ることができますが、中小企業診断士は国家試験に合格しないと名乗ることはできません。
(具体的な仕事内容)
中小企業診断士の主な仕事内容は、次のとおりです。
・中小企業に対する経営診断と助言
企業の経営の資料や経営陣に対してヒアリングを実施して、経営診断を行い、問題点を見つけ出し、その改善方法を提案したり、改善の実施を支援したりする仕事になります。
企業経営に関連する広範な知識や判断力、コミュニケーション力が必要になってきます。
業務内容が広範囲で、多岐にわたるために、場合によっては外部の他の士業や専門家と企業を結びつける役割をする場合もあります。
・企業からの官公署での相談対応
企業の経営陣や起業を考えている人からの官公署の相談に対応する仕事です。
公的機関の窓口などで相談員として従事するケースが多く、公的業務もしています。
・補助金の申請支援
国などの官公署が実施している各種の補助金への申請を支援します。
多くの補助金の支給には審査があって、審査に通過するために事業計画書を作成することになります。
中小企業診断士は、これらの申請手続きを支援したり、相談に応じたりします。
・講師
企業の研修やセミナーなどで、講師をすることもあります。
内容としては、経営関係では、経営戦略や経営方針、事業承継、営業関係であれば、販路の開拓、売上の増進などの経営の実務に関連するものから、仕事の仕方といった中小企業診断士が持っているビジネススキルに関するものまでいろいろあります。
・執筆
雑誌やWebサイトの記事を執筆します。書籍を書くこともあります。
セミナー講師や執筆などで有名になれば、書籍の出版につながる事例も多くあります。
