行政書士の仕事の紹介、行政書士の会社の設立の業務について

会社の設立時に関係する士業としては、行政書士、司法書士、社会保険労務士となりますが、それぞれ得意、不得意があります。会社設立手続きで依頼すべき士業を解説します。

1.会社設立手続き

(1)会社概要

どんな会社を設立するのか会社概要を決めます。どのような目的なのか、商号や本店の所在地はどうするのかを決めます。

資本金、発起人、発起人の出資額、発行株式の数、株式譲渡制限の有無も決めます。

その他、公告の方法、事業年度、代表取締役など、定款に記載する内容を決定します。

(2)定款作成と認証

会社概要が決まったら、定款を作成します。定款とは、会社概要の文書で、株式会社の場合であれば公証役場で認証を受けます。

法律に準拠して定款を作成しているか認証を受けます。定款はその会社の規則を記載した文書で、会社法によって記載する内容が規定されています。

(3)資本金払い込み

資本金払い込みは、定款の認証の前でもできます。会社設立時に、発起人が出資金として入金します。

口座は、発起人、または設立時取締役のいずれかの口座です。

資本金は1円からでも可能ですが、資本金は銀行などの信用に値する金額にします。

(4)法務局の登記申請

定款の認証と資本金の振り込みができたら、法務局で登記の申請をします。登記申請書、定款、資本金の払込証明書、役員の就任承諾書などの書類が必要になります。

登記申請書は商業登記法に基づいて記載しますが、登記ですから司法書士に作成を依頼する方法もあります。

(5)会社設立登記

登記が終われば会社設立の手続きは完了します。登記申請の日付が会社の設立日になります。

法務局の登記完了の後、登記完了証が発行されて、登記事項証明書、印鑑証明書、印鑑カードの取得ができるようになります。

2.自分で会社を設立する

インターネット上には会社設立に必要な定款作成方法や法務局の手続きを調べることができます。

定款には事業目的が記載されて、法務局に登録されるので、事業目的の内容に注意が必要です。

違法性、営利性、具体性、明確性などやどのようにして利益が出せるのかを記載します。

3.費用

会社設立の手続きを士業に依頼すると、手数料として25万円~30万円くらいかかります。自分で会社設立をする場合は、印紙代くらいの費用しかかかりません。

会社設立時の費用には資本金も必要になります。資本金とは会社の運転資金や新規事業の開業時に使う費用になります。資本金が多ければ多いほど金融機関から借り入れが少なくなります。

資本金の額は取引先や銀行などから信用してもらえるような金額にしておきます。一般的に、資本金の平均額である300万円以上とします。

同じ住所に同じ会社名があるときは、使用できません。会社名は設立後に変更ができます。

定款を公証役場で認証してもらう場合は、収入印紙4万円分が必要ですが、電子定款認証であれば、定款をPDFファイルで作成して、デ-タを公証役場で認証してもらうので、印紙代は不要です。

4.行政書士に会社設立を依頼

行政書士は、会社設立で登記手続きをすることはできません。登記手続きを代行できるのは司法書士だけになります。

登記手続きは司法書士に依頼するか、自分でしてもらう必要があります。

行政書士にしてもらう仕事は、会社の設立や新規事業開始の時に、許認可手続きをしてもらう場合です。

認可取得に必要な費用が行政書士の報酬となります。認可対象の業務によりますが、数十万の費用がかかる場合が多いようです。

特に、建設業、運送業、飲食業認可を取得するには、書類の作成など、煩雑でむずかしい書類も多く時間も手間もかかります。行政書士に依頼するのが一般的です。

行政書士に依頼するのは、定款の作成と認証の代行となります。許認可が必要な事業の会社の設立の場合では、行政書士に依頼するのが一般的です。

5.社会保険労務士に会社設立を依頼する場合

社会保険労務士の場合は会社設立というよりも雇用関係で依頼することが多くなります。

法人設立時には、たとえ社員一人であっても社会保険、厚生年金、雇用保険などへの加入の手続きが必要になります。設立時の書類と同じく、多量の書類と煩雑な書類を用意しなければなりません。労働局や労働基準監督署への提出も必要になってきます。

会社設立時の雇用手続きや労働保険の加入手続きなどを依頼することが多いです。社労士への報酬は雇用人数によって、金額が変わります。

就業規則など人事労務関係の手続きや人事労務制度は、専門知識が必要になります。依頼するのが一般的です。

助成金の申請なども相談することができます。

社会保険労務士も会社設立手続きを代行できませんが、行政書士、司法書士とセットで依頼できるように社会保険労務士を探すとよいでしょう。

新会社で、雇用となると労働基準法など労働保険や年金などの社会保険の手続もあります。

6.税理士に会社設立を依頼

税理士は、税務の届出書の作成や提出を代行します。会社設立後の申告の際には、税理士に相談するのが一般的です。節税の相談もできます。

税理士は決算や税金申告などの仕事をしてもらいます。会社設立の相談と会社設立後の会計、決算、申告などとセットになっている場合がおおくなっています。

税理士は、経営、節税、決算、資金調達などを相談できるかどうかで選べばよいでしょう。

7.まとめ

行政書士ができる仕事は「定款の作成・認証」と「許認可手続き」の2つがメインの仕事になります。「登記手続き」は、司法書士しかできません。司法書士の独占業務で、会社設立は、必ず司法書士が関係することになります。

税理士の場合、「税務届出書の作成・提出」のほかに、税制面の相談ができますし、節税目的で会社設立した場合は必ず税理士が必要になります。

行政書士に会社の設立を相談するメリット、行政書士の仕事としては、許認可手続きを代行してくれることです。

次の業種では許認可の書類を提出する必要があります。

(許認可手続きが必要な業種)

建設業、不動産業、旅行業、運送業、倉庫業、飲食業、ガソリンスタンド、薬局、電気工事業、医薬品販売業、産業廃棄物処理業、酒屋、警備会社、介護サービス業、古物商、美容業

これらの業種で事業を始める場合の会社設立は、行政書士が最適となります。

許認可手続きで注意が必要なのは、認可を取得したらそれで終わりということではなくて、定期的に更新手続きが必要になります。