行政書士法について、関連する法律はどんなものがあるのか?罰則なども

行政書士法は、行政書士の制度を定めている法律です。

行政書士は、日本国民の権利を守って、義務を遵守していただくために、書類の作成や提出の代行をしています。

国民と役所を結んでいるパイプ役として、官公署の行政手続きの相談から、書類の提出にいたるまでをサポートしています。

行政書士は「行政書士法」という法律で定められた資格になります。行政書士試験に合格した人や、長年にわたって公務員として経験を積んだ人に、行政書士の資格が与えられています。

行政書士の使命、職務や行政書士法人、行政書士会、日本行政書士会連合会の制度などを定めるほかに、無資格者の官公署に提出する書類などの「権利義務または事実証明に関する書類」事務の取扱い、および取り扱う表示の禁止、行政書士法人、行政書士事務所の名称使用禁止などを定めています。

法令番号は昭和26年法律第4号で、1951年(昭和26年)2月22日に公布されました。

構成は次のとおりとなっています。

第1章 総則(第1条 – 第2条の2)

第2章 行政書士試験(第3条 – 第5条)

第3章 登録(第6条 – 第7条の4)

第4章 行政書士の義務(第8条 – 第13条の2)

第5章 行政書士法人(第13条の3 – 第13条の21)

第6章 監督(第13条の22 – 第14条の5)

第7章 行政書士会および日本行政書士会連合会(第15条 – 第18条の6)

第8章 雑則(第19条 – 第20条)

第9章 罰則(第20条の2 – 第26条)

附則

行政書士は国民と官公署を結ぶパイプ役となっています。行政書士は、官公署に提出する書類について、「相談などに応じること」、「代理人として書類を作成すること」、「提出の手続きについて代理すること」を業務としています。

たとえば、 建設業許可、自動車登録、法人設立(登記を除く)、営業許可、在留資格 などになります。

行政書士は、権利義務や事実証明に関する書類についても「相談に応じること」「代理人として、書類を作成すること」を仕事としています。

たとえば、各種契約書、内容証明、遺産分割協議書、会計記帳などです。

行政書士には、守秘義務があります。業務上で知ったことを他の者に漏らしてはならないという「守秘義務」があります。一般の人は、安心して、相談することができます。

1.行政書士法

(業務)

第一条の二

行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類、その他権利義務、または事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面などを含む)を作成することを仕事とする。

行政書士は、前項の書類の作成であっても、その業務を行うことが、他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができません。

第一条の三

行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。

一  前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を官公署に提出する手続、および当該官公署に提出する書類に係る許認可などに関して、行われる聴聞、または弁明の機会の付与の手続、その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為について代理すること。

二  前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること。

三  前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。

(秘密を守る義務)

第一二条

行政書士は、正当な理由がなく、その業務上取り扱った事項について、知り得た秘密を漏らしてはならない。 行政書士でなくなった後も、また同様とする。

2.行政書士法の違反事例

(1)自動車販売店の自動車登録の場合

自動車販売店が「車庫証明、自動車登録」を行う際に、行政書士法違反に該当する事例です。

知らずにしてしまうと、罰金に処されますので注意が必要です。

顧客から報酬をもらって、登録書類の作成を行うこと。たとえば、登録関係書類、車庫証明がこれに該当します。

たとえば、自動車を購入した顧客から報酬をもらって、登録関係書類や車庫証明の申請書類を作成することは禁止されています。

違反した場合は、「行政書士法違反」となって、罰金が科せられます。報酬をもらわずに、無料で行うのであれば、罰則に該当しません。

(2)顧客から報酬をもらって、行政書士に代行しない

自動車を購入した顧客から報酬をもらうことまでは同じですが、それが行政書士依頼料などの依頼を代行することが書かれているにも関わらず、実際には代行していない場合などです。このケースは、「詐欺行為」に該当して、刑事罰の対象となります。

行政書士への依頼料金のほかにも、車庫証明の費用や登録に関する諸費用を請求している場合も、違反に該当する可能性が高くなります。

(3)罰則規定

行政書士法19条に違反し「一年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処せられることがあります。

違反している場合には、顧客が支払った費用を全額返金しなければならない義務があります。

これらの事例が、頻出しているケースとして、業界内でも、問題となっています。

3.行政書士独占業務の違反

官公署に提出する書類の具体例は次のとおりとなります。

飲食店営業許可申請書、酒類販売業免許申請、建設業許可申請書、旅館営業許可申請書、農地転用許可申請書、宅地建物取引業免許許可申請書、道路使用許可申請書、風俗営業許可申請書、NPO法人許可申請書、宗教法人設立認証申請書、個人タクシー免許申請書、建築確認申請書、旅行業登録申請書、医療法人設立許可申請書、入札資格審査申請書、在留資格申請書、自動車登録申請書、車庫証明書、

行政書士の資格を持たない者が、行政書士の独占業務をすると、行政書士法違反となります。

行政書士法第19条第1項の違反になり、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられることになってしまいます。

弁護士、税理士、司法書士などのほかの士業の人はもちろんですが、行政書士資格を所持していない人は、作成方法をたとえ知っていたとしても、本人以外が行うのは違反対象となります。