行政書士は、行政手続が専門の士業です。行政書士が独占する業務もあり、広い業務範囲を持っています。多くの行政書士は、専門分野や実績のある分野を仕事としています。
建設業や飲食店の開業、農地に住宅を建てたいなどでは、許可や認可、許認可を得る必要があります。官公署に申請する書類は煩雑で膨大になります。そのようなケースで、相談から書類作成、提出代理までを行政書士が行います。
行政書士法に基づく国家資格で、官公署への提出書類、権利義務・事実証明に関する書類の作成、提出手続、作成に伴う相談などに応ずる専門職で、八士業の一つです。
1.行政書士の仕事
行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類や権利義務・事実証明に関する書類に関して、法律に基づいて作成、作成や提出を代理または代行して、当該書類作成に伴う相談に応ずることを仕事としています。
特定行政書士は、これらの他に行政書士が作成した官公署提出書類に関する行政不服申立て手続などの代理、その手続について官公署に提出する書類を作成する仕事ができます。
行政書士が作成する書類は、簡単な届出書類から複雑な許認可の手続まで、約3000種類になるとされています。許認可などの申請書・添付書類など官公署に提出する書類のほか、契約書、定款など権利義務や事実証明に関する書類を作成できます。
書類を作成するときの相談にも応じます。新車を購入した時の登録手続、飲食店や建設業を開業する時の許認可手続、法人設立のための認可手続、定款認証手続・議事録などの作成、(登記手続は除く)、外国人の在留資格の更新や変更手続などです。
行政書士の仕事は、土地家屋調査士、司法書士、社会保険労務士などと関係しています。これらの資格を取得して、兼業する行政書士も多くいます。建設業法、不動産や農地などに関係する法令に精通していることも必要になります。
税理士、土地家屋調査士、社会保険労務士、司法書士、宅地建物取引士などの他の士業と兼業する人は半数以上います。
一般的な行政書士の仕事内容を次のとおりまとめておきます。
(1)コンサルタント
行政書士は会計記帳、決算、財務諸表の作成など会計業務にも携わることができます。中小企業などに対して、幅広いアドバイスが行えます。
(2)遺言や相続
遺言書の起案や作成の支援、遺産分割協議書などの作成、相続財産の調査、相続人の確定調査など
(3)成年後見
認知症などにより判断能力が不十分な人を本人の自己決定権を尊重して法的に保護して、支援するなどの成年後見人制度。
(4)自動車登録関連
自動車登録申請、自動車重量税申告、交通事故示談書、自賠責保険・任意保険金(後遺障害、損害賠償金)の請求。
(5)土地活用
田畑に家を建てたい、田畑を駐車場にしたい、農地を売りたいなどの、土地に関連する各種申請手続。
(6)日本国籍取得など国際関連
日本の国籍取得を希望する人の帰化申請の手続、外国人登録、在留資格の取得、永住許可、国際結婚。
(7)法人関連手続
株式会社やNPO法人、医療法人、学校法人、宗教法人、組合など、法人の設立手続とその代理及び事業運営の支援(定款・議事録の作成、会計記帳、公的融資手続)など。
(8)外国人雇用関係
外国人を雇用する際に必要となる入国管理局への申請手続など。
(9)運輸関連
一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業許可申請、タクシー営業許可申請など。
(10)許認可申請
建設業や運送業、産業廃棄物処理業、飲食店の許可申請手続など
その他許認可関係:入札資格申請、宅建業免許申請、風俗営業許可申請・営業開始届、古物商・質屋等営業許可申請、深夜酒類提供飲食店営業開始届、旅行業登録申請など