行政書士が合格してから登録手続きをして開業するまで

行政書士として試験に合格しても、すぐに仕事ができません。行政書士の登録をしなければなりません。行政書士として、仕事をするには登録の手続きが必要になります。行政書士を名のって実際に、業務をするためには登録が必ず必要です。

1.行政書士法第6条

行政書士法の第6条では、試験に合格した資格の保有者が行政書士になるためには、日本行政書士会連合会の行政書士名簿、各都道府県の行政書士会に登録して、所属する必要があると定められています。

行政書士としての資格を有する者が、行政書士となるには、行政書士名簿に、住所、氏名、生年月日、事務所の名称や所在地、その他の日本行政書士会連合会の会則で定める事項の登録をしなければなりません。

行政書士法 第6条

(条文)

行政書士となる資格を有する者が、行政書士となるには、行政書士名簿に、住所、氏名、生年月日、事務所の名称及び所在地その他日本行政書士会連合会の会則で定める事項の登録を受けなければならない。

行政書士の試験に合格しただけでは、行政書士として登録できるという資格を持っているだけで、業務のできる行政書士ではありません。行政書士の仕事をすることもできませんし、名刺などに、行政書士と印刷して、配ることもできません。

行政書士の登録をしないと、登録しない場合には、行政書士を名のれなくなって、行政書士会の研修が受けられなくなります。

行政書士の登録をしなければ、行政書士会が主催で開催される研修を受けることができません。

行政書士試験に合格しても、実際に仕事をするためには、法令などが更新されるので、勉強を継続してしなければなりません。各都道府県の行政書士会では登録会員にさまざまな研修を実施しています。

行政書士会の研修を受けなければ、最新の行政書士の知識が得られないということはありませんが、研修に参加することで、知識や情報を収集しやすくなると言えます。

2.行政書士法第19条の2

行政書士法第19条の2では、行政書士登録をしていない場合は、行政書士やそれに紛らわしい名称を名のることが禁止されています。

(条文)

・行政書士でない者は、行政書士、またはこれと紛らわしい名称を用いてはならない。

・行政書士法人でない者は、行政書士法人、またはこれと紛らわしい名称を用いてはならない。

・行政書士会、または日本行政書士会連合会でない者は、行政書士会、もしくは日本行政書士会連合会又はこれらと紛らわしい名称を用いてはならない。

行政書士試験に合格していても登録していない段階で、行政書士を名のった場合には、違法になるので注意が必要です。故意にした場合は、もちろんですが、故意でなくても、相手に誤解を与えてしまった場合には、違法になってしまいます。

口頭で名のることができないだけでなくて、名刺やホームページなどのプロフィールなどに記載することもできません。

3.最近の行政書士の合格者数

そもそも、行政書士の合格者数ですが、令和4年度は、下記のとおりなります。

10歳代以下 56

20歳代 1,178

30歳代 1,611

40歳代 1,513

50歳代 1,058

60歳代  386

合計   5,802

年代的には、20代から50代まで、幅広く合格しています。男女別では、男性が、4,296人、女性が1,506人でした。男性が女性の約3倍となります。

合格者数の年度別では、令和2年度が、4,470人、令和3年度が、5,353人、令和4年度が、5,802人とここ3年増加傾向にあります。

4.行政書士の登録者数

合格後に登録している人の数ですが、たとえば、令和2年度の合格者は4,470人でしたが、行政書士登録を行った人は2,623人でした。

登録率は、59%となります。

実際は、登録者の中には、過去の合格者や試験以外で、行政書士資格を取った人もいるために、試験に合格して、登録した人の割合は、もっと少なくなります。

行政書士の試験にたとえ合格しても、半分以上の合格者が、登録をしていないということになります。

行政書士の登録をしない理由としては、登録料や年会費のコスト、登録の労力、登録に期限がないためなどが考えられます。

5.登録料

東京都行政書士会、神奈川県行政書士会、大阪府行政書士会の都市圏の事例です。

・登録手数料

 いずれも、25,000円です。

・入会金

 200,000円~250,000円です。

行政書士の登録をするには、書類や申込書などを準備して、都道府県の行政書士会に提出します。審査もいれると、登録までに1カ月以上かかる場合もあります。

合格しても、行政書士の登録には期限がありません。

行政書士の登録をするには手続きがあります。申請書を提出して、現地調査が入ります。その後、日本行政書士会連合会による審査となります。

・申請書を提出

都道府県の行政書士会に申請書などを提出します。申請に必要な書類は次のとおりです。

行政書士登録申請書、履歴書、誓約書、本籍地記載の住民票の写し(提出日前3ヶ月以内に交付されたもの)、身分証明書(提出日前3ヶ月以内に交付されたもの)などです。

行政書士登録申請書や履歴書の様式、記入見本は、日本行政書士会連合会のサイトでダウンロードできます。

公務員としての経歴や職歴によって行政書士資格を持っている場合は、公務員職歴証明書が必要になります。

行政書士法人の社員として登録する場合は、雇用契約書などの提出が必要になります。

独立して開業する場合には、事務所の所在などを確認するための書類が必要になります。

・現地調査

行政書士事務所を独立開業する場合には、都道府県の行政書士会によって現地調査が行われます。事務所の写真を提出することで、現地確認が省略される場合もあります。独立開業の予定がある場合は、事務所などを事前に準備しておかなければなりません。

独立開業ではなくて、行政書士の従業員として行政書士事務所や法人などに就職する勤務の行政書士として登録する場合には、現地調査は必要なくて、写真なども不要です。ただし、勤務先の雇用契約書などの提出の必要があります。

・日本行政書士会連合会の審査

都道府県の行政書士会に申請を出すと、日本行政書士会連合会にも共有されて、審査が実施されます。審査で特に問題がなければ、行政書士名簿に登録されて、正式に、行政書士となります。

審査にかかる時間は、一般的に、1カ月程度となります。

・欠格事由

行政書士の場合にも欠格事由があります。次のいずれかに当てはまる場合には、審査が通りません。

未成年である、成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ていない場合、禁固以上の刑を受け、その執行が終わって3年が経過していな場合、公務員で懲戒免職処分を受けて3年が経過していない場合、行政書士登録の取り消し処分を受け、3年が経過していない場合、行政書士業務禁止の処分を受け、3年が経過しない場合などです。

行政書士として登録されたら、開業するための準備を始めることができます。オフィススペースの手配や必要な設備やソフトウェアの導入、営業計画の策定など、開業に必要な準備をすすめます。

開業準備が整ったら、営業を開始することができます。クライアントの獲得や業務の遂行に向けて、マーケティング活動やネットワーキングの機会を活用します。