「遺言」について、行政書士専用キーワード選定を行う

ウェブ屋コラム

ホームページの制作をいただいている先生が記事作成について相談を受けたので、ウェブ屋の視点から「行政書士が遺言書作成を受任する」ためのキーワード選定をしてみました。

キーワード選定とは

キーワード選定とは、あなたのサイトをどのキーワードとコンテンツによって検索上位表示にするかを考えることです。 適切なキーワードを選定することができれば、ウェブページでの収益化に近づきます。キーワード選定をせずに、ただやみくもに記事を増加してもアクセス数は伸びません。

キーワード選定する前に、キーワード選定の心得

サイトのテーマから離れたキーワードはダメ

たとえば、「行政書士のウェブサイト上で、料理のレシピの記事」を扱ったらユーザーはどう思うでしょうか?ほとんどのユーザーは「専門性が無い記事があるサイト」とか「必要な情報が探しにくいサイト」と感じます。

グーグルの検索表示順を決定するのは、人間がやっているのではなくほとんどをプログラムが行っています。そのプログラムは優秀で、人間が訪問して価値の高いサイトしか検索結果にヒットしないようになっています。

そのため「行政書士のウェブサイト上で、料理のレシピの記事」は、ユーザーからだけではなくグーグルから見ても価値の高いコンテンツと評価されません。

キーワード選定には、サイトのテーマに沿った選択を行う必要があります。ただ、行政書士の業務は多岐に渡るため、サイトテーマがまとまりにくい傾向にあります。意識してメインテーマから外れないようなコンテンツ作りが必要になります。

検索する人(ターゲット)を想定する

検索する人の設定とは、検索する人を性別・年齢・居住地などを仮に決定にして、その検索する人に対して刺さるコンテンツ作りを目指すことです。今回考えるキーワードは「遺言」ですので、「遺言」を調べそうな検索する人を想定していきます。ペルソナの設定とも呼ばれます。「遺言」では、検索する人は大きく分けると以下の2種類となりそうです。

1、被相続人になりえる人
2、相続開始後の相続人

「遺言書作成を受任」に絞るのであれば、「1、被相続人になりえる人」に限定されますので、もっと絞り込んでもっと掘り下げます。

・男女共にターゲットになる。
・居住地は、行政書士が訪問できる範囲内。
・死を意識するような年齢である。年齢は高めなほど遡求効果が高そう。
・相続が発生するような遺産がある。
・法定相続人がいる。
・特定の相続人に残したい遺産がある。

どんな人に向けて、記事作成をすれば良いのかを意識することが大事です。また、記事も書きやすくなります。

キーワードの強さを考える

「遺言」というキーワードは、ビックキーワードと呼ばれるワードです。ビックキーワードは検索される回数も多いです。(これをインプレッション数といいます。)しかし、以下のような人を全て含んでしまうため、ユーザーの検索意図を捉えることが難しく、その結果受任に結びつく確率は悪くなります。(これをコンバージョン率といいます。)

たとえば、「遺言」のみを検索している人は、以下のような意図があると推定できます。
・もう、相続について紛争が起きてしまっている
・相続発生後、遺言について相続人が検索してる
・「遺言」を自ら書きたい人
・「遺言」を他士業に委任したい人
「遺言」を行政書士に委任したい人

もう少し絞り込んで「遺言 書き方」というキーワードは、「遺言」よりも小さいキーワードになります。上記よりもユーザーの検索意図を捉えやすくなりますし、「遺言」よりも「遺言 書き方」のほうが競合が少なくなるので上位表示をしやすいはずです。

ただし、ホームページをリリースしたばかりの人は「遺言 書き方」でさえも100位以内に入ることは難しいビッグキーワードです。商圏のある行政書士は、地域をキーワードに追加することで「横浜 遺言 書き方」などとすると必然的にキーワードが長くなり競合が少なくなります。これはロングテールSEOと呼ばれます。

ユーザーはどんな言葉で検索するか考える

「遺言」は、一般の方が表示する「遺言(ゆいごん)」と士業が表示する「遺言(いごん)」ともに同一の漢字なので、この部分で差をつけることはできません。

「遺言」のことを「遺言書・遺言状」はもちろん、おそらく「遺書」と書いてしまう人もいるかもしれません。「遺産」にも触れておいたほうがいいかもしれません。もっと「遺言」から遠いキーワードになりますが「子に相続させない」などを考慮に入れても良いかもしれません。固定観念を持たず大きく捉えることが必要です。

以上のことを踏まえつつ、ツールを使ってキーワードを決定していきます。

具体的にキーワードの選定を開始する

キーワードをツールで掘り下げ

キーワードプランナー

「遺言」を中心にキーワードプランナーで掘り下げていきます。まずは、月間平均検索ボリュームが上位のものをピックアップします。

キーワードプランナーとは、グーグル広告を使っている人向けに、キーワード候補や予想検索数や競合の有無を確認できるツールです。

本来は広告キーワードを決定するために使うものですが、コンテンツ作成前の方向性決定にも役に立つものです。

キーワード月間平均検索ボリューム競合性
自筆9,300
公正15,260
秘密940
書き方26,460
遺留分28,020
弁護士600
行政書士0
法務局5,420
遺贈8,440
費用3,380
遺言と関連する代表的なキーワードのピックアップ

キーワードプランナーから見ると、遺言は行政書士に依頼できるものだとは思われていないようです。士業ではない人の認識だと行政書士と司法書士の違いもあまり理解されていないように思うので、行政書士という単語が出てこないことも仕方ないのかもしれません。

これは「遺言 行政書士」などのキーワードが検索されないのでは、キーワードで上位を取得してもアクセスされないことを意味します。やみくもに記事を書いてもアクセスされません。

私はやみくもに300記事をライターに依頼してブログを完成させたことがあります。結果は酷いものでした。キーワードを意識してライティングすることの重要性を感じました。

その他掘り下げ方

①サジェストキーワードを見る。②関連キーワードを見る。③記事公開後、サイトの流入キーワードを見る。④SNSの発言を見る

キーワードマーケティング

マーケティング用語でアイドマモデル(パーチェスファネル)と呼ばれるもので、人が購入に結びつくまでには「認知」→「興味」→「比較・検討」→「購入・申込」の段階を踏む考え方があります。「購入・申込」に近い「比較・検討」の段階にある人が検索しそうなキーワードをピックアップする必要があります。

たとえば「遺言書 とは(認知)」「遺言書 書き方(興味)」よりも「遺言書 価格(比較)」「遺言書 横浜(検討)」のほうが申し込みに近いキーワードになります。具体的のほうが競合が少なく成約率が高くなる傾向にあると考えられています。

他士業と競合業務は

一言で「遺言」でウェブ集客できたとしても、行政書士は「遺言の作成」「終活」などの紛争が起きる前の業務を集客にかぎられます。そのため、紛争が起きそうな状態のときに検索しそうな「遺言書 遺留分」で上位をヒットしても行政書士が関われる仕事ではないかもしれません。行政書士が受任できる有効なキーワードを狙う必要があります。

行政書士以外のウェブマーケティングでは、除外をあまり考えなくてもそれなりの結果は出せるのですが、他士業との兼ね合い(独占業務)がありますので、広告のときは除外しておきたいキーワードを考えておきましょう。

行うのは本人か代理人か

本人が行うつもりで検索しているのか、行政書士に委任するつもりなのかを検索キーワードから判断することは難しいのですが、意識してキーワードを選定することは重要です。

「遺言書 とは(認知)」「遺言書 書き方(興味)」よりも「遺言書 価格 比較」「遺言書 価格 比較」「遺言書 横浜価格」の場合は、委任することに近いキーワードではないでしょうか。より具体的なキーワードで検索ワードが長くなってきたと思います。このようなワードに狙ってヒットさせるのがロングテールSEOです。

コンテンツのキーワードの決定

上位が取得できるキーワードかどうか

Google Organic CTR History – Advanced Web Rankingによると、検索順位1~10位のクリック率は大きく差があるようです。

Google Organic CTR History - Advanced Web Ranking
This free tool helps you track the evolution of Google click-through rates for organic listings.
3位までで半分以上を占めている
検索順位CTR(クリック率)
1位29.56%
2位12.03%
3位7.58%
4位4.74%
5位2.87%
6位2.07%
7位1.82%
8位1.33%
9位1.12%
10位1.01%
徐々に下がっていき20位だと0.26%

3位までを獲得できるようなホームページでなければ、ほとんどアクセスされないようです。3位以内を目指せるようなキーワード選定をしたほうが良いでしょう。

広告による上位表示

自然検索によって1位を取得できたとしても、グーグル広告の競合が多く1位の上に3つも4つもリスティング広告が表示されていたら、やはりクリック率は下がってしまいます。キーワード選定した後に、そのキーワードで競合の広告出稿意欲が高いかどうかも確認する必要があります。

決定したキーワード

キーワードプランナーから掘り下げたキーワードを組み合わせて、「公正証書遺言 費用 横浜」などを狙ってみようと思いましたが、広告がびっちりとあり、1位のサイトは古く戦うことは難しそうです。さすが、「遺言」の派生キーワードだけあって、皆さん狙っているキーワードですね。

もう1つキーワードを足して、どうにか1位を狙ってみたいと思います。キーワードプランナーでは下位でしたが、「証人」を足して「公正証書遺言 費用 横浜 証人」「公正証書遺言 価格 横浜 証人」を狙ってみたいと思います。

この記事のライター
行政書士 保田 多佳之

このサイトの管理者。2005年から現在までウェブの企画・制作・マーケティングまで幅広く経験しています。これからも仕事の中心はウェブの仕事です。2021年から行政書士専用のウェブ制作を行っています。

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