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相続財産に借地権を含む場合の注意点とその解決方法

不動産

土地の上に建っている建物を相続した場合、建物が建っている土地を所有しているのではなく、土地を借りているのであれば、土地の「借地権」も引き継ぐことになります。

この「借地権」とは何でしょうか。また、「借地権」を相続した場合、どのように対応するのが良いのでしょうか。今回は、借地権の相続について解説します。

相続時の権利関係

そもそも、相続が発生した場合、財産に関する権利はどのようになるのでしょうか。

親族等が死亡した場合、相続が開始し(民法882条)、相続人は、死亡した者(被相続人)の財産や権利義務を引き継ぐことになります(民法896条)。しかし、借金額が多い場合など、相続人が財産を引き継ぎたくない場合もあります。

そこで、相続人は、相続の開始があったことを知った日から、3か月以内に、単純承認、限定承認、相続放棄のいずれかを選択することとなります(民法915条)。

単純承認(民法920条)

被相続人の権利義務の一切を相続するものです。

限定承認(民法922条)

相続によって得た財産の限度でのみ債務等の弁済をして相続を承認するものです。

相続放棄(民法938条)

相続に係る権利義務を放棄して、初めから相続人でなかったものとみなすものです。

借地権とは

 相続があれば、土地や建物のほかに、「借地権」という権利も引き継ぐことになります。「借地権」とは、建物の所有を目的とする地上権及び賃借権のことをいいます。つまり、自分が所有していない土地の上に建物を所有するために、土地を借りて利用する権利です。

借地権には、3種類があります。これらの借地権については、契約の更新を前提とするかどうか、存続期間がどのくらいの長さかといった違いがあります。

借地権についても種類があり、扱いも異なりますので、借地権を相続する場合には、どのような借地権を相続しているのか内容を確認するようにしましょう。

普通借地権

普通借地権とは、借地借家法3条に定める契約の更新を前提とした借地権です。

旧借地権

旧借地権とは、現行の借地借家法が制定・施行される前の借地法の規定に基づく借地権です。

一般定期借地権

一般定期借地権とは、借地借家法22条が定める契約の更新を前提としない、つまり、存続期間の経過によって契約が終了する借地権です。

借地権の相続の承認

手続き

単純承認をする場合、単純承認をするという意思表示をしていなくても、3か月以内に限定承認や相続放棄の手続をしなかった場合や、一定の行為をした場合には、単純承認したこととみなされます(民法921条)。

借地権の相続を単純承認する場合

借地権の登記がない場合

借地権の登記がなければ、土地上の建物があることで借地権は対抗力を持つため、借地上の建物の名義変更をし、土地の貸主に相続による借地権取得があったことを伝える必要があります。

借地権の登記がある場合

借地権の登記がある場合には、借地権の登記の名義変更が必要となります。

登記名義の変更に必要な手続き

登記名義の変更をするには、対象となる不動産を確認した上で、遺産分割協議を経て借地権を相続する相続人を決定する必要があります。

その上で、遺産分割協議書、戸籍謄本、住民票、印鑑証明書、固定資産税評価証明書といった必要書類を準備する必要があります。必要書類をそろえたら、法務局で登記の変更の手続を行うことになります。

しかし、登記の変更手続は手間がかかる上に専門的な知識が必要な場合もありますので、登記の専門家である司法書士に依頼するのも良いでしょう。

また、単純承認をする場合でも、法定相続人以外へ遺贈(遺言による贈与)がされた場合や、相続した建物を売却したり建て替えたりする場合には、土地所有者(貸主)に連絡をして承諾を得ることが必要です。

メリット

単純承認をした場合、借地権のほかに、借地上の建物や他の遺産分割の対象となる財産や権利義務についても承継することができます。

具体的にどれくらいの資産価値を引き継ぐかは、遺産分割協議の結果にもよりますが、相続人として資産を得ることができるのが単純承認のメリットと言えるでしょう。

デメリット

単純承認をした場合、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も引き継ぐことになります。

また、借地権を相続すれば、相続税などの税負担がかかるほか、借地の管理コストも生じます。このようなマイナス面についても引き継がなければならなくなるのが、単純承認のデメリットです。

以下のような場合には、単純承認が適しているといえるでしょう。

  • 借金などのマイナスの財産が少なく、他のプラスの財産も考慮した上で、相続人となることが利益となる場合
  • 管理コスト等の負担が生じても借地権を引き継ぐことから得られる収益が大きい場合
  • 代々続く土地上の建物の所有権とその利用権を、自ら承継したい場合

借地権の相続を限定承認する場合

手続き

限定承認をする場合には、

  • 相続人「全員」で(民法923条)
  • 相続開始を知ったときから
  • 「3か月」以内に(民法915条)に

家庭裁判所に対して、限定承認をする旨を申述する必要があります。

メリット

限定承認は、積極財産の範囲で消極財産を引き継ぐ相続の方法ですから、相続した財産以上の借金を相続する必要はないというメリットがあります。

また、「先買権」という不動産が競売にかけられたときに優先的にその不動産を購入できる権利が認められます。

デメリット

限定承認は、相続人「全員」でなければ利用できず、1人でも反対する相続人がいれば利用できません。

また、限定承認をすれば裁判所の手続により債務を清算することとなるため、手続も複雑です(民法926条以下参照)。

さらに、相続放棄と異なり、みなし譲渡所得税や相続税がかかることには注意が必要です。

これらのことから、相続財産の負債額が大きい場合には限定承認を利用することが考えられます。しかし、限定承認を利用できる場合は限られており、手続も複雑であることから、限定承認を検討する場合には、一度専門家に相談することをおすすめします。

借地権を含む相続を放棄する場合(相続放棄)

手続き

借地権を相続放棄する場合、相続開始を知ってから3か月以内に、家庭裁判所に「相続放棄の申述書」(民法938条参照)を提出し、これを受理してもらう必要があります。

限定承認の場合と同様に、3か月という期間制限があることに注意しましょう。

メリット

管理コストの削減

相続放棄をしてしまえば、管理コストを払う必要がなくなります。借地権を建物と一緒に相続した場合、土地の賃料や固定資産税といった税負担が発生します。また、相続に伴い、相続税を負担しなければならない場合もあります。さらに、建物の管理についても、自身で管理を行うのであれば労力がかかりますし、第三者に委託すれば手数料などのコストが発生します。

権利承継に伴う負担の回避

借地権を建物と一緒に相続すると、当然ながら、その建物をどう使用・収益・処分していくのかを考えなくてはならなくなります。相続放棄をした場合には、このような活用方法を考え実行するという負担はなくなります。

トラブル回避

借地権には、貸主との間のトラブルがつきものです。また、相続の際には、他に相続人がいれば、遺産をめぐった争いになることもあります。相続放棄をすれば、こういったトラブルに巻き込まれることはなくなります。

デメリット

財産や収入源の喪失

相続放棄を選択した場合、借地権についてだけでなく、他の相続の対象となる財産(遺産)やそれに関する権利義務も放棄することになります。つまり、借地権以外の財産も失うことになります。そうすると、借地権を失うほかに、土地上の建物や他の資産も失うこととなり、建物の利用によって得られた将来の収益も失うこととなります。

管理責任の継続の可能性

相続人が複数いれば、借地の管理権については他の相続人が負担すれば事実上は足ります。しかし、相続人がほかにいない場合には、相続放棄後から相続財産の管理人が選任されるまでの間は、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、財産を管理する必要があります(民法940条1項)。相続放棄をしても一時的にでも財産の管理責任を負う可能性があることに注意した上で、相続放棄をするかどうか判断することが重要です。

他の相続人との関係

相続放棄をすれば、遺産は他の相続人で分割することになるか、後順位の相続人が代わりに相続人になることとなります。相続放棄をしたことを伝えていなかった場合、他の相続人が土地建物に関する権利関係を把握しておらず、トラブルになる可能性があります。

これらのことから、他の財産や借地上の建物から得られる収益を失ってでも、管理コストを負担したくない場合や貸主とのトラブルを考えたくない場合には相続放棄の方法をとることが考えられます。

相続放棄をする場合には、3か月の期間制限があることや、一時的に管理責任は負う可能性があること、他の相続人への連絡をしておくことに注意しましょう。

まとめ

今回は、借地権の相続について、単純承認と相続放棄を比較して解説しました。

相続の際にどう対応すべきかについては、借地権から得られる利益のほかに遺産全体の資産状況を踏まえて判断する必要があります。

また、相続放棄をすれば、借地権以外の財産も失うことに注意する必要があります。

相続放棄には期間制限もあるため、判断が難しい場合には、相続開始を知った後、速やかに専門家に相談することをおすすめします。

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この記事のディレクター
行政書士 保田 多佳之

このサイトの管理者。2005年から現在までウェブの企画・制作・マーケティングまで幅広く経験しています。これからも仕事の中心はウェブの仕事です。2021年から行政書士専用のウェブ制作を行っています。

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