行政書士の仕事、海外在住外国人の日本国籍取得について

帰化とは、外国人が日本の国籍を取得して、日本人になることです。 日本人と同じ権利を取得することができます。

帰化申請は、官公署への手続きなので、行政書士が専門的に取り扱う仕事となります。帰化申請の手続きは,提出や作成する書類の量が多く、内容も複雑です。

行政書士が専門家として支援することで帰化申請をする申請者の負担が減って行政側にとってもスムーズな事務処理をすることができます。

1.帰化条件

日本国への帰化条件は7つあり、国籍法5条1項の1から6号に定められています。

①5年以上継続して日本に住所を有すること
②20歳以上で能力を有する者
③前科や違反歴が無く、素行が善良であること
④申請者自身、または生計を同じくする親や夫、妻などの同じ財産を持つ親族と生計を営むことができて、生活保護などの公共の負担になっていないこと
⑤日本国籍に帰化した、日本人になったときに、以前有していた国籍を失うことが出来ること
⑥日本国、日本政府、日本国憲法に反する思想を持っていた過去が無いこと
⑦上記国籍法6条項にはないが、自筆で審査を受けることができる日本語の読み書きができること。

国籍法第6条から第8条によって、特別永住権者の子女などの日本で生まれた者、日本人の配偶者、日本人の子、かつて日本国国籍者であった者などで一定の者については上記の帰化の条件を一部緩和されています。

国籍法では、帰化を許可する権限は、法務大臣にあり、普通帰化、特別帰化(簡易帰化)、大帰化の3種類が認められています。

帰化を望む者は各地の法務局へ帰化の申請手続きを行います。

申請が許可されると、新戸籍を編製する場合と日本人配偶者の既存戸籍に入籍する場合とがあります。

新戸籍を編製する場合は、氏が任意に設定されます。ただし、日本で使用されている漢字と仮名以外の文字、中国の漢字、アルファベットなどを使用することはできません。

帰化後の名、下の名前は自由にできますが、字種に関しては氏と同じ制限があります。
許否の結果が出るまでの期間は個々人で異なりますが、半年から2年程度を要するとされています。

帰化申請の内容が認められた場合は、法務大臣による許可行為として官報に日本国内の現住所、帰化前の氏名(片仮名または漢字表記)、生年月日が告示掲載されて、告示の日からその効力を生じることとなります。

告示の氏名表記に外国文字(英字、ハングルなど)は使われずに、すべて日本語、漢字、片仮名に置き換えて表記されます。

国籍法には、届け出による国籍の取得の規定があり、この場合、要件を満たしていれば法務大臣の許可によらず届出のみによって国籍を取得することができます。これを「帰化」と区別して「届出による国籍取得」と言っています。

2.帰化申請の専門家

日本での帰化申請手続きは行政書士、司法書士、弁護士の仕事として扱うことができます。なお、法務局への手数料はかかりません。

(1)普通帰化

普通帰化は、次の要件を満たす外国人に対して、許可することができる帰化です。婚姻などによる日本人とのつながりがない外国人の場合などがこれにあたります。

(2)特別帰化(簡易帰化)

特別帰化(簡易帰化)とは、日本人との婚姻など一定の要件を満たす外国人に対して許可することができる帰化の通称です。

普通帰化の場合より一部の要件が緩和されています。

日本で生まれた外国人や日本国民であった者の子で現に日本に住所を有するものは、居住要件は3年以上に緩和されます。日本で生まれた外国人で父、または母が日本で生まれたものは、現に日本に住所を有する場合は在住年数を問わず帰化が可能になります。

その他、引き続き10年以上日本に居所を有する外国人は、引き続き日本に住所を有する期間が5年に満たずとも帰化が可能となります。

日本人の配偶者で現に日本に住所を有するものは、居住要件は3年以上に緩和されます。

また、婚姻後3年を経過していれば、居住要件は1年以上に緩和されます。またこのとき、20歳未満でも帰化が可能です。

養子を除く日本国民の子や日本の国籍を失った者の場合は、日本に住所を有する場合は在住年数・生計要件を問わず、帰化が可能となります。このとき、20歳未満でも帰化が可能です。

(3)大帰化

大帰化とは、普通帰化や特別帰化の要件を満たさない、あるいは満たすが本人が積極的に帰化を申し出ないが、日本に特別の功労のある外国人に対して国会の承認を得て行う帰化の通称です。

3.帰化申請

帰化申請とは,外国籍の者が母国の国籍を喪失して、日本人としての国籍や身分を得るための手続きです。

外国籍を所持したままで、日本に住み続けるための手続き、永住、就労ビザ等の申請や更新は、根拠となる法律も窓口も異なります。

帰化申請は出入国在留管理庁ではなく、住所地を管轄する法務局で行います。

外国籍の者の帰化申請に対して、日本政府、法務省が帰化の条件を満たしているかを書類と面接で審査して、帰化の許可・不許可を決めます。