行政書士の公務員特任制度ついて、公務員の勤続年数によって試験なしで行政書士登録ができます

公務員は行政書士の試験が免除されます。特任制度と言われています。公務員としての勤続年数が一定以上ある場合には、試験を受けることなく行政書士として資格を登録できる制度があります。

公務員も行政書士も同じく、行政に関係する事務業務に携わる仕事として、非常に関連度が高いために、公務員としての勤務の経験を行政書士試験に変えることができます。この特任制度は、公務員としての経験を行政書士に活かす制度となっています。

1. 行政書士試験の免除の概要

・公務員として、一定の期間勤務した人は、無試験で行政書士の登録ができる試験免除制度です。

・行政に関係する業務を主としている行政書士と公務員は実務が似ていて、行政書士試験と公務員試験の出題の範囲もほぼ同じために免除されます。

・公務員でも試験免除制度を使わずに、行政書士試験を受けることもできます。

公務員なら無試験で行政書士になることができます。一般的には、行政書士に資格登録するには、行政書士試験を受験して合格することが必要になります。

一定の条件を満たしている場合に限って、行政書士試験を受けなくても行政書士として登録することもできます。

2. 行政書士登録の特任制度

行政書士の試験に合格しなくても、行政書士に登録することができるのが特任制度です。

行政書士法第2条において、行政書士の資格を得ることができる者として規定されている条件は次のとおりとなっています。

行政書士試験に合格した者、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士のいずれかの資格を有する者、国または地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間、あるいは行政法人、または特定地方独立行政法人の役員、または職員として行政事務に相当する事務を担当した期間が通算して17年以上の者、中卒の場合は20年以上。

このように、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士の資格のいずれかを取得している者、あるいは17年間(中卒の場合では20年間)公務員として勤務していた者であれば、無試験で行政書士になることができます。

弁護士、弁理士、公認会計士、税理士については、難関の試験に合格する必要がある国家資格なので、行政書士の試験内容も含まれているため行政書士の仕事もできるようになっています。

試験を受けなくても、公務員として17年間あるいは20年間勤続さえすれば、行政書士試験を受けなくてもよいのは、行政書士の資格を取るには大きなメリットになります。

ただし、行政書士の資格を得られるようになるまでに、17年もしくは20年という長い年月を公務員として働かなければなりません。17年~20年は長いです。間違いなく中年になってしまっています。

試験を受けなくてもよい点はメリットですが、評価できますが行政書士の資格を得るために17年もしくは20年間公務員として働く人は少ないと思います。

行政書士は、行政に関する事務全般を行う資格になります。行政書士が行う主要な仕事は、官公庁への許認可書類提出手続きの代行、権利義務に関する書類や契約書など作成の代行が主要な仕事になります。

行政書士の仕事の範囲は非常に幅広くて、行政書士が扱うことのできる書類の種類は、一万を超えると言われています。

公務員は市民の近くで働いて、役所で法律に則って、書類作成をはじめとした行政事務を行います。

業務を行うために、必要となっている知識が共通する部分が多いことから、公務員としての仕事は行政書士の仕事によく似ていると言えます。

その証拠に公務員と行政書士は試験内容が似ています。公務員試験は行政書士試験と出題範囲が類似しています。法令科目の憲法、行政法、民法、一般知識科目の政治、経済、社会と文章理解などについて、出題範囲が、ほぼ同じになっていて関連度が高くなっています。

ただし、行政書士試験の方が若干、難解になっています。公務員試験と行政書士試験を比べてみると、試験範囲が同じ部分も多くありますが、行政書士試験の方が問われる内容への深い理解が必要になっており、難易度も高く設定されています。

基本的には行政書士試験の方が難しいと言えますが、公務員試験の中でも難しいとされる上級公務員以上の試験になりますと、公務員試験の方が、難易度が高くなるようです。

公務員試験には非常に多くの種類があって、その難易度は低いものから高いものまで、いろいろあります。

公務員で働いている人でも、17年または20年という年月は、かなり長いので、行政書士試験の勉強をして、資格取得をされる人もいます。
公務員からの転職を検討中の人の中には、資格を取得して転職を有利しようと行政書士を目指す人もいます。

3.行政書士になるメリット

行政書士の資格を取得すれば、独立して開業する可能性ができます。むしろ行政書士は、独立開業を前提としている士業です。行政書士として、企業に就職しても、肩書として、行政書士を使うことは禁じられています。名刺に行政書士と書くこともできません。

公務員の収入については、公務員法によって基準が定められているため、がんばって働いても収入には限界があります。

行政書士として独立開業すれば、公務員として勤務していた時代よりも大きく年収の増加が得られる可能性がありますし、働き方に裁量ができるようになります。自分の働き方や働く時間を自分の好きなように自由に決めることもできます。

行政書士として事務所を開業して、順調に収入を得るまでには、準備と経験が必要となります。

公務員の業務は、行政書士の扱う業務とよく似ています。独立後も公務員時代の業務の経験を活かすことができるので、公務員から転身した行政書士は、行政書士の試験を受けて、未経験から独立開業するよりも行政書士として成功する可能性が高いと言えます。

4.公務員が行政書士登録をする

公務員が行政書士の登録をする場合は、次のことに注意が必要です。

・公務員の在職中には登録することはできません。
・公務員には兼業禁止の規定があります。公務員在職中に行政書士の登録をすることは禁止されています。
・公務員の在職中に、行政書士として活動して、報酬を得ることも規則違反になります。

基本的には、特任制度を利用して行政書士登録をする人は、公務員の退職者ということになります。

5.行政書士の登録費用

行政書士登録には諸費用が必要になります。

東京都行政書士会の場合の費用は、次のとおりとなります。

入会金:225,000円
登録手数料:21,000円
登録免許税:30,000円
合計276,000円

登録後に月会費が必要となる場合もあります。

決して、安い金額ではありません。そのほか、事務所を開業するのであれば、一時金や月額の固定費もかかります。この金額が開業して、回収できるかどうかで、開業をためらう人もいます。