行政書士登録をしている人には、行政書士だけをメインで働いているのではなくて、副業として業務をしている人もいます。平日の昼間などでは、会社員として働いて、たとえば、土曜や日曜など、週末の1日か2日間ほど、行政書士としての仕事の時間にする場合になります。
行政書士の業務は、許認可手続きがメインになりますので、官公署への提出書類の作成と提出が主とした業務になります。本来は、官公署の窓口の受付をしている平日の昼間にしかできない業務もたくさんあります。土日以外の平日にも仕事をしなければならないことができる可能性がありますので注意が必要です。平日は、本業である会社を抜け出して、官公署に行くわけにもいきません。
1.副業行政書士はやっていけるのか?
行政書士を副業としてする場合、やっていけるかどうかが重要な問題となります。
どうしても、平日に届出で、官公署に行かなければならない日程は、例えば、一般の会社につとめていると40日の有給休暇がありますので、有給休暇を利用することもできます。有給休暇を副業で使ってしまうと、いざ病気の時が心配になりますが、会社の休暇制度には、病気休暇、積み立て休暇などもありますので、それを利用することもできます。会社には、リフレッシュ休暇など、いろいろ休暇を充実させる方法ですすんでいますので、会社勤めがメインの場合は、そのような休暇制度を有効活用して、副業時間を捻出することもできます。
契約書の作成や法律相談の仕事など、土日や休みにできる仕事だけにしたり、ほかの行政書士と共同して、平日の書類の提出などは、代わりにやってもらったりする方法も考えられます。土日と休日しか時間がないという制約がある副業で、行政書士をやっていくには、専業の行政書士とは違うアイデアを出すことが必要です。それと重要なのは、人間ですから休みも必要になります。会社勤めと副業をしている中で、いかに休みを確保するかも課題になってきます。
2.副業行政書士、在宅の行政書士として働く
行政書士は、弁護士や社労士などとは違って、企業に雇われて専属行政書士として資格を名乗ったりすることが法律で禁止されています。会社勤めなどの本業と行政書士をはっきりと区別しなければなりません。
勤務している会社が副業を認めているかどうかを就業規則などで確認することも必要になります。副業が禁止されているのであれば、その会社に在籍しながら副業行政書士として働くことはできません。方向性としては、政府の後押しもあって、副業は認められる方向になっています。いずれは、かなりの数の企業で副業は市民権を得ることになると言われています。
就業規則で問題がなければ、行政書士会連合会に登録を行う必要があります。一般的に30万円ほどの費用がかかります。
初期投資としては、事務所の家賃やパソコンなどのビジネス機器類が必要になりますが、自宅を事務所として使ったり、今持っているパソコンなどを使うのであれば、費用を少なくすることができます。パソコンだけでなくインターネット回線も必要になってきます。
副業行政書士としての準備ができても、それだけでは、お客さんから相談や依頼がくるとは限りません。チラシを持って、飛び込みセールスなどまではしなくてもよいと思いますが、ホームページをつくったり、インターネットでの営業活動や日常の人脈づくりなどをする努力は、たとえ副業であっても必要になります。行政書士登録することだけでは、仕事は、お客さんは自分から来てくれません。副業と言えども、それなりの営業活動は必要になってきます。
3.副業行政書士のメリットとデメリット
行政書士がひとつの仕事を完了させるためには、書類の作成や官公署への提出だけでなく、顧客との対面での打ち合わせなどにも時間を費やすことになります。
副業することの大きなメリットとしては、行政書士のトライアルとして、試しに仕事をしてみることができる点があります。実際に本業として、独立開業しても本業としてできるのか、試すことができます。
仮に独立開業したとしても、次の日からすぐに仕事がくるわけではありません。収入がしばらくない期間が続く可能性があります。これは、副業としてのデメリットだけでなく、本業の場合も同じです。
副業のメリットとしては、収入以外にも、たとえ試験には合格していても、行政書士としてやっていけるのか、自分の適性も試すことができます。適正があまりないと判断して、たとえ副業として継続しても、本業もあるので収入が安定しています。将来的に独立開業を予定していても、安定した収入がある間に副業として試してみるという安全策を取ることもできます。
副業行政書士のデメリットとしては、平日も時間が取れる専業の行政書士と比較した場合に、営業活動も制約されますし、行政署の開いている昼間の仕事をもらいにくい点があります。誰かに頼むとしても、提出するだけであれば、問題ありませんが、提出時に行政署の係員とやりとりが想定される場合は、他の人に頼むこともできません。
また、依頼するクライアントからすると、依頼したい案件を、副業としてしてる人に依頼するのは躊躇することも否めません。できれば、本業の行政書士を希望するほうが自然です。
副業行政書士で活動する場合は、専業よりも、受注するの営業活動が、専業より少なくて、受注しづらい上に、活動量そのものが少ないために仕事も取りにくいと言えます。副業でやっていく上で、本業と副業とのバランスも大事になってきます。本業よりもデメリットは多くなってしまいます。
4.副業の行政書士の給料や年収
行政書士の副業の場合、人によって違いはありますが、土日祝日などの休日を行政書士の仕事あてた場合、月額で5万円~10万円程度が相場と言われています。
副業としては、妥当な収入かもしれませんが、勤めながら休日を行政書士の仕事をすることになるので、体力的精神的な疲れも考えなければなりません。休日がなくなってしまいます。
行政書士会の入会金などの初期費用や行政書士会への年間の登録料や営業、通信費用を出していく必要もあるために、その収入がすべて手取りということにはなりません。
なお、数は少ないですが、土日だけの募集をしている行政書士事務所もあります。土日だけでも事務所に勤務すれば、集客のための活動や面談場所の確保、交通費や通信費も軽減されるので、検討する方法もあります。