社員から退職代行を使われた場合の会社側(事業主)の対応

退職代行の連絡があった場合 行政書士コラム
退職代行の連絡があった場合

退職代行を利用されたときの事業主の考え方

社員の退職を拒絶することはできないので、原則的には退職を認めることになります。

民法では2週間前に退職の意思を通知することになっています

社内規定に2週間よりも長い期間を定めてあっても民法が優先されます

勤務をさせることはできない

退職意思を通知された次の日からその社員が勤務しない場合でも、「無断欠勤」もしくは「休暇・有給休暇の申請」とみなされます。強制的に勤務させることはできません。

引継ぎがされていない場合

引継ぎがされていない場合で、業務に支障をきたして損害が発生するときは、調停・裁判によって損害賠償を主張することできます(主張しても認められるかどうかは裁判所が決めます)が、それでも、強制的に勤務させることは難しいでしょう。

調停・裁判によって主張することは、費用も時間もかかりますのでお勧めできません

社員と連絡をとりたい場合

退職代行を利用しているぐらいですから、社員と連絡を取ることは困難でしょう。もし、「その社員しか知らない情報」(パスワード等)がある場合は、まずは、退職代行業者を通じて、「その社員しか知らない情報」の共有をお願いすることが一番スムーズな解決方法です。

退職代行を利用されたときの事業主の確認書類

退職代行業者から「退職意思の通知」があった場合、3つの書類を確認する必要があります。例えば、なんの権限もない業者から、本人の意思に反して退職の処理をしてしまうことは、事業主の瑕疵になります。以下の書類を確認しましょう。

退職届
  • 「社員本人」もしくは「退職代行業者」から「事業主」に対しての退職届。この書類では、社員本人の退職する意志が書かれていることを確認します。
委任状
  • 「社員本人」が「退職代行業者」に対して、退職代行を依頼した委任状。どのような業務の委任を受けているかどうかも確認する必要があります。また、この書類をより確実にするためには、「社員本人」の実印と印鑑証明書も確認します。
就任通知
  • 「社員本人」から「事業主」に対して、「社員本人」が退職代行を依頼した「退職代行業者」であることを通知する書類。上記の委任状だけではなく、誰が誰に代理しているのかを確認します。

退職代行をされた事業者のための電話相談

社員が退職代行を利用するサービスや情報は多いですが、事業者が退職代行を使われた場合の対応方法はまだ情報が少ないようです。事業者と社員の紛争(裁判や調停)を避ける対応方法をご提案いたします。もし、賠償を求めるのであれば弁護士の対応となりますので、本案件に強い弁護士をご紹介いたします。

この記事のライター
行政書士 保田 多佳之

このサイトの管理者。2005年から現在までウェブの企画・制作・マーケティングまで幅広く経験しています。これからも仕事の中心はウェブの仕事です。2021年から行政書士専用のウェブ制作を行っています。

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