地主の不動産地代の適正地代の算出方法

不動産

地主さんが所有している土地を誰かに貸したいと思った場合、その地代(不動産賃料)は何を参考にして、どのようにして決まるのでしょうか。

あるいは、土地を借りたいと思ったとき、賃料が適切かどうかはどのように判断するのでしょうか。今回は、不動産の賃料の種類やその査定方法について解説します。

地代及び底地価格の査定

土地の賃料を求める場合であっても、その土地自体がどれくらいの売却価値を有する土地であるのか、が考慮されます。

というのも、借地権の種類により割合は変わりますが、借地権付きの土地の地代というのは、「(周辺の類似する地域における)路線価の○%」というのが相場となることがあり、また、賃料算定の手法の中にも路線価から算出される更地価格を見た上で賃料を算出するものもあるからです。そこで、まず、不動産の価値の査定について解説します。

不動産の価値の査定について

前提として、不動産にはいくつかの類型があります。その中でも、「更地」とは、建物等の定着物がなく、かつ、使用収益を制約する権利の付着していない土地をいいます。また、「底地」とは、宅地に借地権が付着している場合のその宅地の所有権のことを言います。そして、この底地を借りる権利が「借地権」です。

更地さらちとは
  • 建物などがなく、かつ、使用収益を制約する権利の付いていない土地
底地そこちとは
  • 借地権が設定されている宅地のことで、底地の所有者は地主となります

不動産の価格にはいくつかの種類がありますが、このうちの「公示価格」とは、一般の土地取引価格の指標となる標準値の1㎡あたりの価格です。また、「路線価(相続税評価額)」とは、相続税や贈与税の計算の基礎となる1㎡あたりの価格で、公示価格の80%の評価額とされることが通常です。この路線価の約80%が、更地価格となり、更地価格の約1〜1.5%が地代の相場となります。

公示価格
  • 一般の土地取引価格の指標となる標準値の1㎡あたりの価格
  • いまいくらなのか、参考となる価格のことです
路線価
  • 相続税や贈与税の計算の基礎となる1㎡あたりの価格
  • 公示価格の80%の評価額とされることが通常
更地価格
  • 路線価の約80%
地代の相場
  • 更地価格の約1〜1.5%

なお、他者に貸している土地を売却しようと考えた場合、その底地価格は、地代等の土地から得られる経済的利益を考慮した上で決められることには、注意が必要です。

賃料の種類

先ほどから、単に「地代」あるいは不動産の「賃料」と言っていますが、不動産の賃料には、正常賃料、限定賃料、継続賃料、の3種類があります。

正常賃料

正常賃料とは、正常価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等の契約において成立するであろう経済価値を表示する適正な賃料をいいます。

つまり、賃貸借契約が当事者の間の自由意思に基づいて公平に行われていると仮定した理想的な自由市場において賃貸借契約が結ばれた場合に想定される賃料です。不動産の売却価格における「正常価格の賃料版」と考えるとよいでしょう。

限定賃料

限定賃料とは、限定価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等の契約において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料です。

例えば、隣り合った不動産を一緒に使用する場合、合わさることで効率的に不動産を利用することができます。また、不動産を分割して使用する方が、経済的に合理的な利用ができる場合もあります。

このように、正常賃料よりも高く賃料を評価する方が適切であると考えられる場合の賃料のことを限定賃料というのです。不動産の売却価格の鑑定における「限定価格の賃料版」と考えるとよいでしょう。

継続賃料

継続賃料とは、不動産の賃貸借等の継続に係る特定の当事者間において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料をいいます。

つまり、ある土地を借りたいと考えた特定の人と貸したいと考えた特定の人の間で、継続的にその不動産を貸し借りしていくにあたって、賃料額の見直し・改定を考える際に、いくらが適正かという観点から考える賃料です。

適正地代の算出方法

では、賃料を算出する手法には、どのようなものがあるのでしょうか。

ここでは、不動産鑑定評価基準に従い、新規賃料の場合と継続賃料の場合に大きく分けた上で解説し、その他の簡易な賃料の算出手法についても解説します。

新規賃料の場合

不動産の賃料を求める場合、新規賃料に関しては、積算法、賃貸事例比較法、収益分析法、等があります(不動産鑑定評価基準31頁)。

積算法

積算法とは、対象不動産に価格時点における基礎価格を求め、これに期待利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して対象不動産の試算賃料を求める手法です。つまり、不動産自体の売却価格(更地価格)を算出した上で、それに対してどのくらいの利益が得られるか、必要経費としてどの程度かかるのかを考慮した上で、その総額を賃貸借の期間で割ることで賃料を算出する方法です。
積算法は、最初に基礎価格や期待利回り、必要諸経費を考えなくてはいけないため、これらの把握が確実に行える場合に適している手法です。

賃貸事例比較法

賃貸事例比較法とは、まず多数の新規の賃貸借等の事例を収集して適切な事例の選択を行い、これらに係る実際実質賃料に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められた賃料を比較考量し、これによって対象不動産の試算賃料を求めるものです。つまり、似たような賃貸借の事例を見て、同じくらいの価格を賃料とする方法です。この手法により算出された賃料は、比準賃料とも言われます。
これは、他の類似の場所での賃料を把握しなくてはいけないため、近隣の地域で対象不動産と同じような賃貸借が多数行われている場合に適した方法と言えます。

収益分析法

収益分析法とは、一般の企業経営に基づく総収益を分析して対象不動産が一定期間に生み出すであろうと期待される純収益を求め、これに必要諸経費等を加算して対象不動産の試算賃料を求める手法です。当該不動産の将来収益性に着目した賃料の算定方式です。
これは、将来における収益というものに着目されていることから、事業用に賃貸し、その事業から得られた収益のうち不動産に帰属する収益を求めることが容易な場合に適した手法です。

継続賃料の場合

継続賃料を求める場合、差額分配法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法、等があります。

差額分配法

差額分配法は、対象不動産の経済価値に即応した適正な実質賃料又は支払賃料と実際実質賃料又は実際支払賃料との間に発生している差額について、契約の内容、契約締結の経緯等を総合的に勘案して、当該差額のうち賃貸人等に帰属する部分を適切に判定して得た額を実際実質賃料又は実際支払賃料に加減して試算賃料を求める手法です。

これは、賃料の改定をする際に用いる考えで、今までの賃料と本来の適正と考えられる賃料との「差額」を考慮して、その差額分を改定後の賃料に「分配」することにより適切な賃料を把握しようとするものです。

利回り法

利回り法は、基礎価格に継続賃料利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して試算賃料を求める手法です。新規賃料の場合のⅰ積算法に対応する手法です。

スライド法(物価スライド方式)

スライド法(物価スライド方式)とは、直近合意時点における純賃料に変動率を乗じて得た額に価格時点における必要諸経費等を加算して試算賃料を求める手法です。つまり、これまでの賃料を、物価の変動に応じてスライドさせることで適切な賃料を算出する手法です。

賃貸事例比較法

賃貸事例比較法とは、新規賃料に係る賃貸事例比較法に準じて試算賃料を求める手法です。内容としては、新規賃料の場合と変わらないため、ここでは詳細な説明は省略します。

その他の簡易な賃料の算出方法

以上の賃料の算出方法は、不動産鑑定評価基準に定められたものです。これらのほかに、以下の、公租公課倍率法、土地の公示価格を基準とする方法という簡易な賃料の算出方法もあります。

公租公課倍率法

公租公課倍率法とは、地代の簡易な算定方法の1つです。具体的には、当該不動産の税額(固定資産税・都市計画税)に一定倍率を乗じた額を地代とする方法です。これの方法は、公租公課、つまり税金という明確な額が分かっているものを基準とするため、簡易・容易・明確に賃料額を算出できることが利点です。

土地の公示価格を基準とする方法

他の簡易な賃料の算出方法として、土地の公示価格を基準として地代を算出する方法があります。具体的には、公示価格に対して、土地面積をかけ、ここに1.5〜3%をかけることで地代を求めることになります。これについても、公示価格という明確な金額が存在するため、簡易な方法として地代を算出するには適していると言えます。

おわりに

以上のように、不動産の賃料(地代)の価格は、路線価・公示価格を参照して決められることがあります。賃料には、正常賃料、限定賃料、継続賃料、があります。賃料の算定手法には、不動産鑑定評価基準に定められているもののほか、簡易な算出方法もあります。不動産の売却価格の鑑定手法の場合と同様に、ケースによって、どの算出方法が適しているかは様々です。場合によっては、算出方法の違いにより、当事者の間で主張する地代の価格が異なり、争いとなることもあります。地代の価格の算出方法には様々なものがあることを理解した上で、複雑なケースでは不動産鑑定士などの専門家に相談することをおすすめします。

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この記事のディレクター
行政書士 保田 多佳之

このサイトの管理者。2005年から現在までウェブの企画・制作・マーケティングまで幅広く経験しています。これからも仕事の中心はウェブの仕事です。2021年から行政書士専用のウェブ制作を行っています。

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