買取は可能?古い家を上手に手放す方法を解説

ライター依頼記事

不動産を売却する方法として「仲介」の他に「買取」という方法があります。

家を手放す理由はそれぞれですが、なかでも、不動産の相続では古い家が多く、空き家として放置されているケースも珍しくないため、一般的に古い家は売りにくいと言われています。

しかし、所有しているだけでも固定資産税がかかり、できれば売却したいと考えている方も多のではないでしょうか?

そこで、不動産買取の仕組みや古い家が売れにくい理由、古い家を上手に売るコツなどを解説します。これから古い家を売却したい方や、買取の方法を知りたい方は​​​​、ぜひ参考にしてみてください。

そもそも不動産買取とは?

「不動産買取」は、不動産会社が土地や建物を直接買取をすることです。

少しでも早く売りたい、現金化したい、売却を周囲に知られたくない方などに適した方法です。

不動産仲介と不動産買取の違い

仲介

「仲介」は、売主と買主の間に不動産会社が仲介し、媒介契約を結び、販売活動を行った上で買主を探します。

買取

「買取」は、土地や建物などを不動産会社が直接買取するので、仲介手数料は発生しません。

仲介の販売活動

販売活動としては、物件情報サイトに売却する不動産を掲載したり、新聞広告の手配、内見の立会いなどがあります。

仲介の仲介手数料

仲介では、以下の仲介手数料がかかります。

売買価格仲介手数料の上限額
200万円以下売買価格の5%+消費税
200万円超400万円以下売買価格の4%+消費税
​​400万円超売買価格の3%+消費税

不動産買取の種類

不動産買取には「即時買取」と「買取保証」があります。

即時買取

  • 即時買取は、不動産会社がすぐに家を買取ってくれる方法です。
  • 購入希望者が内見に来ることはなく周囲に知られることはありません。
  • 仲介手数料がかからず、訪問査定は1回で済むことがほとんどです。
  • 1週間〜1ヶ月以内で早期に売却できる場合が多くあります。

買取保証

  • 買取保証は、仲介で売れなかった際に不動産会社に直接買取ってもらう方法です。
  • 買取と仲介を組み合わせたような仕組みです。
  • 相場に近い価格で販売活動を行います。
  • 売れなかった場合は、約束していた価格で不動産会社に買取ってもらいます。

仲介の期間は、一般的に3ヶ月程度

  • 仲介の期間は、一般的に3ヶ月程度です。
  • 仲介で売買が成立すると仲介手数料が発生します。
  • 仲介で成立せず、買取となった場合は仲介手数料が発生しません。

古い家が売れにくい理由

古い家は、場合によっては値引きをされることもあり、売れにくいと言われています。売れにくい理由とは、どのようなものがあるのでしょうか?ここではその理由を解説します。

築年数が古いほど価値が下がる

建物には、以下の構造で法定耐用年数が決められており、売却価格の査定は、この法定耐用年数を参考にしています。

建築構造耐用年数
木造22年
軽量鉄骨造(S造)27年
重量鉄骨造(S造)34年
鉄筋コンクリート(RC造)47年
鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)47年

​​主な減価償却資産の耐用年数として、国税庁のホームページに記載されています。

【確定申告書等作成コーナー】-耐用年数(建物/建物附属設備)

耐用年数を過ぎている物件は土地価格のみで取引

築年数が古い建物の中で、築20年以上の物件は、リフォームやリノベーションを施さない限り、価値がゼロになる可能性もあります。耐用年数を過ぎている築古物件は、土地の売却価格のみで取引されることが一般的です。

旧耐震基準の建物

住宅を選ぶ際に耐震性を重視する方もいるので、旧耐震基準であれば建物も古く、不安である点が否定できません。

また、住宅ローンの審査が通りづらいことや住宅ローン控除が利用できないといったローンに関するデメリットも売れにくい理由と考えられます。

旧耐震基準

1981年(昭和56年)5月31日以前に適用されている耐震基準で、震度5程度の地震が発生した場合でも倒壊しないという基準です。

新耐震基準

1981年(昭和56年)6月1日以降に適用されている耐震基準で、震度6、震度7程度の地震が発生した場合でも倒壊しないという基準です。

境界線があいまいになっている

土地の境界は「筆界」と「所有権界」があります。

筆界

筆界は、土地の範囲を区画するものとして登記時に定められた公法上の境界です。

所有権界

所有権界は、所有者間の合意の上で範囲を示す私法上の境界です。

境界があいまいな家は、売却時に隣人とトラブルになる可能性があります。特に相続した土地は、境界線がはっきりしないケースが多いです。このような場合は、隣地の持ち主と話し合い、土地家屋調査士等に依頼し境界を確定しなければなりません。

古い家を売る手順

ここでは、​古い家を売却する際の流れについて解説します。

不動産の相場を調べる

最初にインターネットで築古物件の相場を調べます。

不動産会社が提示した価格が適正であるか判断するには、ある程度の相場を知っておく必要があるので、インターネットで、同じような築年数や建物の構造、エリアなどの条件で調べてみましょう。

国土交通省​​「土地総合情報システム」や「レインズマーケット」を参考にします。

不動産会社に査定を依頼

不動産会社に査定を依頼します。このときに複数の不動産会社を比較しながら、売却実績があり信頼できる業者に依頼することが大切です

不動産会社を比較する際には、不動産一括査定サイトを利用すると便利です。

古い家を売ることは簡単ではありません。したがって、不動産会社選びも非常に重要となります。

不動産会社と媒介契約を締結

依頼する不動産会社が決まれば、媒介契約を締結します。
媒介契約には「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類があります。

一般媒介契約

  • 一般媒介は、複数の不動産会社に依頼することができる契約です。
  • 自分で買主を探す「自己発見取引」が可能です。

専任媒介契約

  • 専任媒介は、1社だけに仲介を依頼することができる契約です。
  • 物件の売却には、積極的に販売活動を行ってもらえます。
  • こちらも「自己発見取引」が可能です。
義務付けられていること
  • 指定流通機構(レインズ)への登録(契約締結後7日以内)
  • 不動産会社から依頼主へ業務処理の報告(2週間に1回以上)

専属専任媒介契約

  • 専属専任媒介は、1社だけに仲介を依頼することができる契約です。
  • 依頼主への業務報告頻度が多くなるので、より積極的に販売活動を行ってもらえます。
  • 自分で買主を探す「自己発見取引」はできません。
義務付けられていること
  • 指定流通機構(レインズ)への登録(契約締結後5日以内)
  • 不動産会社から依頼主へ業務処理の報告(1週間に1回以上)

条件交渉と契約締結

買主が決まれば、購入価格、支払い条件、引き渡し希望日が記載された「買付証明書」を記入してもらいます。

このときに不動産会社と買主で条件について話し合います。

条件が決定したら、不動産会社が重要事項説明書や売買契約書を作成します。その後、買主の支払いが完了すれば名義変更(所有権の移転登記を)を行い、売却が完了します。

古い家を上手に売るコツ

ホームインスペクションを実施

ホームインスペクション(住宅診断)とは、住宅に精通した住宅診断士が劣化状況や欠陥の有無、補修すべき箇所などを客観的に診断するものです。

家の設備状況や劣化などを事前に診断しておくことで、安心して購入してもらうことができます。

古い家に詳しい不動産会社を選ぶ

地域の特性や事情に詳しい地元の不動産会社や、古い家を得意分野とする不動産会社を選ぶことが大切です。

中小の不動産会社を選ぶ

大手の不動産会社は売却件数が多いため、売りにくいとされる古い家に時間をかけてもらえないかもしれません。中小の不動産会社であれば、1つ1つ丁寧に販売活動を行ってもらえる可能性が高いです。

一部をリフォームする

フルリフォームすると高額の費用がかかることも多いので、必要な設備などの一部にリフォームをして売る方法です。

ウォシュレット付きトイレや浴室のリフォームが施されていると、買主にも喜ばれます。

内覧時に家の状態をありのまま伝える

内覧時に家の状態をありのまま伝えておくことが大切です。

古い家のよくある不具合として、屋根や天井裏の損傷、水道管の老朽化、シロアリ被害などがあります。こうした不具合を内覧時に伝えていない場合、契約後は民法上の「契約不適合責任」として、買主から修補請求や損害賠償請求されるケースがあります。

設備の不具合や雨漏りなど、後から買主から報告されるとトラブルにもなりかねません。

古い家の買取を依頼する方法

古い家を売るには不動産会社に仲介してもらう方法がありますが、早く売却したい場合は、不動産会社に買取を依頼する方法が適しています。ここでは、その買取方法をご紹介します。

買取業者に依頼する

買取業者のなかには耐用年数を過ぎている築古物件を受け付けていない業者もあるかもしれませんので、古い家の買取を行っている業者に買取を依頼します。

古い家の買取を得意とする不動産会社に依頼してみましょう。

不動産一括査定サイトを利用する

一括査定サイトを利用すると、希望条件からすぐに候補が上がってくるので、複数の業者から同時に査定してもらえます。

買取のメリットは、仲介手数料がかからず、すぐに現金化できるところです。
したがって、古い家は、売りにくいこともあり買取が適していると言えます。

古い家の買取相場

古い家の買取相場は、仲介で売却することを100%とすると、買取は60%~70%と言われています。

その原因として、不動産会社が買取した後にリフォーム・リノベーションを行う前提であるため、その費用を差し引いていることが考えられます。また、仲介手数料がないことから利益分を差し引くこともあります。

まとめ

不動産買取の仕組みや古い家が売れにくい理由、古い家を上手に売るコツなどを解説しました。

古い家が売れにくい理由として、築年数が古い、旧耐震基準の建物、境界があいまいなどがあります。このような物件は、買取という方法で売却するのもひとつの方法です。

不動産買取は、不動産会社がすぐに家を買取ってくれる即時買取と、仲介で売れなかった際に不動産会社に直接買取ってもらう買取保証があります。買取は、すぐに現金化したい人にとって適しています。仲介手数料もかかりません。

しかし、​​古い家の買取相場は、仲介の60%~70%と言われているので、どうしても仲介で売却したい場合は、ホームインスペクションの実施や一部リフォームなど、様々な工夫をしながら検討してみましょう。

この記事のディレクター
行政書士 保田 多佳之

このサイトの管理者。2005年から現在までウェブの企画・制作・マーケティングまで幅広く経験しています。これからも仕事の中心はウェブの仕事です。2021年から行政書士専用のウェブ制作を行っています。

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