行政書士とラーメン屋はどちらが儲かるの!?比較してみました。

「行政書士は儲からない」が議論される場合、「行政書士は儲からない」といった考えは、「ラーメン屋は儲からない」と同じ意味で議論する意味もないという意見もよくあります。そこで行政書士とラーメン屋を調べてみました。

メリットとデメリット

ラーメン屋

ラーメン屋のメリット

まず、市場規模があります。令和3年経済センサスで総務省統計局によれば、ラーメンの市場規模は、およそ6019億円となっています。かなり大きなマーケットです。

成長も続けています。2012年から2016年にかけての総務省の経済センサス活動調査によりますと、ラーメン店の全体の売上高としては、2012年の5129.23億円から6019.41億円に上昇しています。

4年間で約17%、年率では約4%の成長率になります。事業所数と従業員者数も増加しており、市場は拡大の傾向にあります。

ラーメンは、寿司や焼き肉と同じく多くの人が大好きな食べ物です。今までに一回もラーメン店に行ったことがない人はいないとおもいますが、行政書士事務所に訪問したり行政書士に相談した人は特定の人に限られています。

市場規模の大きさは、ラーメン屋にとって大きなメリットになります。儲かるか儲からないかの話は、当然、市場規模の大きい方がメリットが大きいわけです。

ラーメンの市場規模は6000億円です行政書士の市場規模は約300億円と言われています。

ラーメン屋のデメリット

都心や駅前などは、ラーメンの激戦区になっています。100メートル以内に何軒ものラーメン店がひしめき合っています。ラーメン激戦地というのもよく耳にします。

2021年の調査によれば、全国のラーメン店舗数は約24,000軒ですが、ラーメン屋の場合、行政書士と違って、駅前・商店街・商業モールなど限られた商業地区にしかありません。

一方、行政書士の登録者数ですが、2022年の調査によると、2022年の時点で、行政書士登録している人数は51,218 名( 男性43,317名、 女性 7,901名)とのことで、個人事務所を開業している行政書士の数は、全国で約43,000人になっています。

ラーメンの店舗数は約24,000軒です行政書士を登録している人数は51,000名です。

ラーメンなどの飲食店は、どれだけお客さんが来るかわかりません。わからなくても、一定の仕入れと仕込みはしておかなくてはなりません。しかも、日持ちしない食材も多くあります。

また、ラーメン屋は多数の人が美味しいと感じるラーメンを作成するセンスが必要であり、行政書士のように調べればなんとかなるというものでもありません。ラーメン屋の運営は、個人の素質に依存する部分が多いビジネスです。

行政書士

行政書士のメリット

行政書士は自宅で開業すれば、店や駐車場の賃料や食材の仕入れ代金も不要です。初期投資と言えば、登録・入会の費用がかかるぐらいです。開業前に店舗の内装やメニューの開発に投資する必要もありません。仕入れた食材を余らせたり、腐らせてしまうこともありません。

行政書士は、イニシャルコストとランニングコストが低い

行政書士のデメリット

市場規模は、ラーメンに比べるとかなり小さくなります。行政書士業界の市場規模は約300億円とされています。

行政書士の場合は、他の士業の独占分野の仕事はできません。扱える種類は多くても、人気があったり、儲かる分野はできない場合もあります。

ラーメン店の経営指標の現状

ラーメン原価率

ラーメン屋は、一般の飲食店と比べると材料費がかかる傾向にあります。原価率の平均は30%~35%と言われています。

一般的には、ラーメン店を開業し出店する場合には、近隣の店がどれくらいの価格の設定なのかなどを調査する必要があります。従ってラーメンの原価率も市場によって左右されることもあります。

ラーメン店舗 賃料

売上に対する「家賃」の比率を「家賃比率」と言いますが、この家賃比率をラーメン店の場合は、10%以下もしくは10%前後にしようというのが一般的です。

ラーメン屋の損益構造

ラーメン屋は1日何杯売れば儲かるかという指標がよく議論されていますが、損益の分岐点は60~70杯と言われています。月に1席あたり20万円売り上げができれば繁盛店とされています。

たとえば、10席ある店であれば、200万円の売上になり繁盛店になります。

ラーメン屋で1日に売れる杯数は、たとえ、繁盛店でも100杯程度になります。 週に1日が休業日として、月間25日営業すると、100杯×25日=2,500杯の販売となります。単価800円ならばちょうど200万円の売り上げになります。

繁盛している典型的な売り上げ200万円のお店の売り上げから経費の内訳と利益の一例です。

売上200万円
内訳材料費(食材費)である原価、60万円(30%)
人件費、60万円(30%)
家賃(テナント賃料)、20万円(10%)
光熱費、20万円(10%)
その他経費、20万円(10%)
利益:20万円

店舗投資費用

ラーメン店の内装設計や工事費用については、1坪あたり20~40万円が相場といわれています。ラーメン店では、一般的な内外装工事費に加えて、ダクトの排気設備や厨房機器にかかる費用が大きくなり、開業資金の多くは店舗投資費用となってしまいます。

ラーメン店の広さ

飲食店の業種によっては、必要な店舗面積はさまざまですが、ラーメン店に必要な面積は、15~20坪程度と言われています。 カウンターだけの店舗の場合には、10坪程度のところもあります。 一般的な店舗では、1坪で、1.5席の客席を設けるようにすればよいと言われています。

ラーメン店の年収

一概には言えませんが、ラーメン経営者の年収は年収800万円が多いとされています。

多くの場合、1店舗あたり利益が1000万円~2000万円もあります。チェーン店などにして、規模を大きくしたり、店舗を増やせば年収はかなり増えることになりますが、赤字であれば、年収が限りなく少なくなります。

チェーン店などで、会社員の店長や社員の場合は、業界的な相場としては、次のとおりとなります。

社員300万円~
社員(店長)400万円~

行政書士の収入(経営)指標の現状

賃金構造基本統計調査(雇用された行政書士に限定された情報)

厚生労働省の令和4年度賃金構造基本統計調査によりますと、行政書士の平均年収は、42歳で580万円ほどとなっています。

平均年齢42歳
勤続年数9.3年
労働時間/月167時間/月
超過労働14時間/月
月額給与376,600円
年間賞与1,278,700円
平均年収5,797,900円

行政書士の勤務先の規模別の年収(2022年度)

行政書士の年収については、勤務先の企業規模とあまり関係がありません。

10〜99人規模の事業所の行政書士の平均年収600万円
100〜999人規模507万円
1,000人以上の規模644万円
※10人以上の規模の事業所の平均は580万円となっています。

独立行政書士の収入

独立して事務所を開業している行政書士の収入は、年収200万円から、年収3000万円と幅がかなり広くなります。

行政書士の業務範囲はかなり広範囲になりますが、幅広く手掛けるよりは、特定のジャンルに専門化して、ターゲットを決めたほうが、収入が多くなりやすいようです。

勤務の行政書士、独立開業の行政書士は、ばらつきがあるものの、年収600万円が一般的になっています。

ラーメン屋VS行政書士の典型的な経営指標での比較

両者とも、比較を単純化するために、典型的な個人経営の場合の比較シュミレーションしました。

行政書士

収入報酬額 月額50万円
経費A氏 自宅でゼロ
B事務所 賃料 10万円、光熱費 5万円、(事務機など)リース料 3万円
通信費 2万円、人件費:30万円(本人の収入など)
差し引きA氏 収入(人件費込み) 50万円
B事務所 差し引き ゼロ円 利益なし、収入30万円

ラーメン屋

売上800円×100杯×30日=月額240万円
支出食材費:(原価率30%)240円×100杯×30日=72万円
店舗賃料 15万円
水光熱費 15万円
その他雑費(厨房機器リースなど)5万円
合計:107万円
収入(人件費込み)133万円

比較

行政書士もラーメン屋も、個人経営なので、人件費=自分(家族)の収入となります。

行政書士の事務所(上記ではB事務所)は、30万円の月給。ラーメン屋だと、ラーメン店舗は一人では、運営はむずかしいので、133万円の月給は2~3名の月給、一人、30万円~70万円。これだと、ラーメン屋のほうが儲かることになりますが、実際はそうではなさそうです。

ラーメン屋は、初期投資に店舗のインテリアや造作などに費用がかかります。しかも、実際には、都市部などでは、経費などの支出がもっとかかる可能性があります。

まとめ

シュミレーションでは、月給ベースで、行政書士は50万円、ラーメン屋は70万円となりますが、それ以上儲かる可能性のレンジはラーメン屋のほうが高くなります。

どちらが儲かるかと言えば、ラーメン屋に軍配があがることになります。ただし、味に依存するラーメン屋の場合、流行などの不測の要因が多くて、リスクも多くあります。

一方、時間がかかりますが、試験勉強して難易度があるものの、合格して資格を取れば、法律的にも許認可などの独占業務ができる行政書士のほうがリスクの少ないスモールビジネスに見えます。

行政書士の場合もAIなどの登場で、素人でも申請ができるようになるとは言われていますが、補助金などの新しい制度がどんどん出てきています。行政書士は、ラーメン屋のように流行などありませんから、マーケティングさえうまくいけば成功するのではないでしょうか?