行政書士とコンサルティング業務

行政書士は、代書屋からはじまりましたが、現代ではAIなどの進化によって官公署などの書類作成だけではなく、コンサルティングの業務も注目されています。

1.行政書士について

1872(明治5)年、太政官達「司法職務定制」の代書人制度というのがありました。これが、行政書士の始まりと言われています。

訴状などの書類などの作成をしていた代書人が、後の司法書士のルーツになって、その他一般の文書を業務としていた代書人が、行政書士のルーツになっています。

1951年(昭和26年)、行政書士の制度を定めて、その業務の適正を図ることにより、行政手続の円滑な実施に寄与し、国民の利便性を目的に、行政書士法1条とした「行政書士法」が成立しました。

参議院では、国または地方公共団体の公務員として一定の経歴がある者であれば、無試験で行政書士の資格を与えるべきとされ、これも認められることになりました。

行政書士の業務は、行政書士法第1条の2、第1条の3に規定され、次の5つの業務をすることになっています。

(1)官公署に提出する書類、権利義務、事実証明に関する書類の作成

(2)官公署に提出する書類の提出の手続き、関連する聴聞、弁明の機会の手続き等、官公署に対してなされる行為を代理すること

(3)行政書士が作成した官公署に提出する書類で許認可などに関する行政署に対する手続の代理、提出する書類を作成すること

(4)契約、関係する書類を代理人として作成すること

(5)行政書士が作成できる書類の作成の相談に応ずること

このように、代書屋的な存在ではなく、コンサルティング業務で活躍することもできますし、コンサルティングを中心にしている行政書士も多くいます。

2.行政書士のコンサルティング業務

歴史的には、代書業として始まり、さまざまな申請書類などを代行で作成することもありますが、コンサルティングも行政書士の仕事のひとつです。

行政書士は、書類の作成代行がメインとされていますが、書類を作成するにあたっては、ただ書けばいいというわけでありません。会社の新規開業であれば、手順にのっとって、手続きをすすめなければなりません。会社法などの関連の法規を把握していないと、適切な手続きをすることはできません。

財産分割や相続の問題についても同じです。関連の法規や必要な書類の手配などをすすめるためには、専門の知識が必要になります。このように行政書士として今までに培ってきた知識をいかして、コンサルティングの業務をすることもできます。

最近のAIの急速な発達などによって、代書屋としての行政書士の需要はは今後は、少なくなるとされています。ITの発達が急速にすすんでいるからです。行政書士にお金をだして、わざわざ書類をつくってもらわなくても、コンピューターがAIによって作成を補助したり、つくってくれる時代が近い将来に到来する可能性が高くなっています。その時にできるのがコンサルティングと思われます。

コンサルティングは、クライアントの相談に応じて、専門家の視点からクライアントの役に立つアドバイスをすることです。コンサルティング業務も始めようと思っているのであれば、どの分野で、コンサルティングするか決めることです。得意なジャンルを中心にして、業務すればよいでしょう。

的確な助言をクライアントに提供するためには、その分野において実績を積むことが重要になります。実力がないのにコンサルタントと紹介しても、クライアントさんはついてきません。行政書士として、ある程度の実績をつくってから、コンサルティング活動をしたほうがよいと思います。

行政書士の将来は、書類作成だけをする時代ではなくなってくると思われます。行政書士がこれからやるべき分野としては、コンサルティングだと思います。